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箕輪厚介×今井紀明 リアル“死ぬこと以外はかすり傷”対談

先日行われた箕輪編集室 山梨合宿。1日目の朝、突如箕輪さんが呟く。

箕輪さんが呼びかけたお相手は、認定NPO法人D×P(ディーピー)で理事を務める、今井紀明さん

約14年前、イラク戦争終結から1年経った2004年の4月、「イラクで日本人3名が武装勢力に拘束された」というニュースが駆け巡りました。その中の1人が、今井さんです。

イラクで人質になった今井紀明さんが目指す「10代の未来を『自己責任』で否定しない社会」

その今井さん(大阪在住)を突如合宿先(山梨の山奥)に呼び出す箕輪さん。「今井さん以上に“死ぬこと以外かすり傷”な人生送ってる人いないから話したい!」「イラクより近いから来れるでしょ!」というはちゃめちゃな理由で…。

と思ったら今井さんも乗り気。さすが“リアル死ぬこと以外はかすり傷”を経験した方…!凄すぎて震える…!

残念ながら交通機関の関係で山梨には来れなかったものの、急遽リモート対談が決定!今回はその一部を特別に公開します♩

箕輪:Twitterを「イラク今井」に変えたほうがいいよ。じゃ、乾杯!

今井:乾杯(笑)。

箕輪:で、なんで俺が今井さんと話したいかと思ったかというと、正直、イラクの人質事件のとき…あれいくつ? 高校生?

今井:あれはちょうど高校を卒業した後ですね。

箕輪:何歳のとき?

今井:18ですね、19歳になる年に行きました。

箕輪:俺もそうだ、18のとき見てたわけじゃん。TVで。完全に負けたと思ったわけ。こいつ、マジでリアルに“死ぬこと以外かすり傷”だって。リアルガチ派がいたって思って。俺、完全敗北を感じた瞬間だったんすよ。当時3人くらいで行っていたじゃないですか。

今井:そうですね。

箕輪:映像しか見てないけど、今井さんが一番腹据わってた。

今井:いやいやいや。

箕輪:淡々としてたの。

今井:やっぱ同世代だから見てたんですね。

箕輪:自己責任論とかどうでもいいけど、俺は机を叩いたよ。「俺はマジでリスク冒してねぇ!」って。

そもそもなんで行ったの? あえて基本的なことを調べないで対談になっちゃって申し訳ないんですけど。

今井:あのときはイラクの子供達の医療支援のNGOを高校時代からやってたんですよね。

箕輪:すっごいねぇ…。

今井:でも周りの世代とかがそこに課題を感じてなかったから、自分がイラクに行って伝えようと思って。で、現地で活動していた方と一緒にいって。

箕輪:でもさ、イラク戦争のときって、アメリカ側がやばいってなってたじゃないですか。それは知ってたけど、「へっちゃらさぁ!」って感じ?

今井:まぁさすがに、それはなかったですね(笑)。1年経って結構落ち着いた時期だったんですよ。僕らがイラクに行った後から状況が変わって、僕らが国際的にみても一番最初の人質事件だったと記憶しています。そのあとから、かなり多くの人が人質になっていった。

箕輪:1000回くらい聞かれたと思うから申し訳ないんだけど、どんなことが起きたんでしたっけ?

今井:本当に死ぬかと最初は思いました。

箕輪:だってさ、本当に深刻な状況だよね。

今井:そうそう、日本人への対応も変わったじゃないですか。あのときはまだ僕ら、高遠菜穂子さんっていうイラクで支援してた人がいたから、助けられたと思うんですが。あと、まだISとかアルカイダとか言われる前の話ですよ。14年前なんで。

箕輪:どういうこと?

今井:簡単に言うと、アメリカのスパイだと僕らは思われたんですよ。

箕輪:アメリカのスパイってどういうこと?

今井:あのときアメリカが駐屯してたじゃないですか。で、日本も自衛隊がいたから一緒だと思って捕まえられた。

箕輪:誰に捕まったんでしたっけ?

今井:民兵組織で、ガソリンスタンドで捕まったんですよ。で、AK-47ってあるじゃないですか。

箕輪:AK-47?

今井:マシンガンとロケットランチャーみたいなのを構えた兵士がいて、すごい彼らが騒いでて、で、捕まった。

箕輪:え、給油してたときに普通に捕まったの?

今井:そう。給油しようと思って、ガソリンスタンドに、なんだっけ、自分たちで入れるやつあるじゃないですか。

箕輪:ああ、こうガーって。

今井:あのときにそういう民兵が出てきてて、「来い」って言われて車に乗せられた。

箕輪:ヘーイ! みたいな?

今井:そこまでノリ軽くなかったけど(笑)。やっぱ一番最初は結構凄くって。1日目・2日目はこれ(こめかみに銃口を突きつけられる)で目隠ししながら尋問されて。

箕輪:殺されるって思った?

今井:本当に死ぬと思ってずっと2日間いましたね。

箕輪:目隠しされるって、どう辛いんですか?

今井:今思い出すと、生きた心地がしないっていうのはまさにその通りで。走馬灯のように、とか死ぬ前の瞬間思い出すって言うじゃないですか。あれが本当にあって。だから捕まったときはやばかったですね。

箕輪:や、すごいね。え、ガソリンスタンドでどういう感じで拉致されたんですか?

今井:そのときは車に一回入れられるじゃないですか。

箕輪:え、入れられるって、抵抗するじゃないですか。NO,NO,NO! って。

今井:いや、20人ぐらいいたから有無を言わさず…

箕輪:20人も居たんだ! 今井さん側は? 箕輪大陸スタッフみたいに周りに大人数居なかったの?

今井:タクシーのドライバーがいて、その人が案内役。その3人で居て、捕まって。

箕輪:で、2日間尋問されて。

今井:でも3日目からは普通に食事が出て。

箕輪:え、何が出たの?

今井:タンドリーチキンとか。

箕輪:タンドリーチキン出るのかよ!(笑) え、美味いの?

今井:うん。結構美味しかった。味も日替わりで。

箕輪:マジかよ、タンドリーチキン!(笑)

箕輪:今井さん、今後のビジョンは?何をやりたいの?

今井:僕実はあの後(拉致後)引きこもってたりとか、対人恐怖症とかになってるんですよ。4〜5年ぐらい。

箕輪:事件の強烈な反応がありすぎてってことですか?

今井:そう。で、今僕が関わっているのは通信制や定時制高校の高校生たち。結構才能持ってる生徒たちが多いんですよね。今、関西と札幌で年間1000人ちょっと関わっているんですけど、不登校とか高校中退とかいろんな経験しているんですが、その子たちを就職までサポートするNPOの仕事をしています。

箕輪:そんな仕事しているんだ。

今井:10代で経済的に厳しいとか、貧困とか、いろんなことを子どもたちは言われていますが、みんな色々と才能があるんですよね。その彼らの才能やスキルとかを先生方と育てるような仕事をしています。

箕輪:面白い! じゃあちょっと箕輪編集室とガチコラボしましょうよ。

今井:ぜひぜひ!

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急な対談依頼にも関わらず、イラクでの臨場感溢れるお話や、現在の活動まで濃すぎるお話を伺うことができました。

今井さんと箕輪編集室のコラボが実現する日も近い…!?

本当に近いかも!!!!

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テキスト 篠原舞

写真 大竹大也

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