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ポスト平成の生存戦略①-「個を立てる」ということの本質

2018年からスタートした箕輪ツアー(地方巡礼)が福岡に上陸。

福岡市の都久志会館で開催された『ポスト平成の生存戦略ー新たな時代をどう生きるー』(主催:堀基晴さん

学生も多く参加した講演会では、箕輪さんの学生時代の話から始まりました。

楽しむ自分を認める

「大学時代も今とあまり変わらなかった。早稲田大学の文学部だったんですが、キャンパスにテラスみたいのがあったんですよ。なんかベンチがあって座れるみたいな。で、そこの真ん中にいつも俺が座っていて、後輩が氷とか泡盛とか買ってきて。」

大学キャンパスでは自然と周りに人が集まってきたという箕輪さん。いつからコミュニティの中心になっていたのでしょうか。

「中学とか高校からそんな感じ。酒は飲んでいなかったけど(笑)。みんな休み時間だけ移動するじゃん。俺はずっと移動しなかったんだけど、周りが自然に集まって来て溜まり場になってた。だから溜まり場を作るの好きなんだと思う。箕輪編集室とかもそうだし。」

さらに佐渡島庸平さんとの会話で自身のコミュニティ作りを再確認します。

「佐渡島さんと話をしていて、“箕輪さんってコミュニティを自然に作ってきた人だね”って言われて、その通りだなって思って。

佐渡島さんって俺とは違って、理論でやっていくタイプ。俺はどちらかというと自然とコミュニティを作って来たんだよね。勉強とかほんとにやっていなかったし、何もがむしゃらにはやっていなかったですね。」

大学時代は何かに打ち込む経験はなかったという箕輪さん。そんな箕輪さんに、大学生活をどう過ごしたら良いか、学生に向けてのアドバイスを伺いました。

「目的があるなら目的から逆算してやれば良いと思うけど、そもそも目的がない人もいる。そういう人は自分が楽しいと思うことをやればいい、って俺は思うけどね。

俺は今でこそいろんな人と触れ合うような仕事が好きだけど、学生時代は内輪ノリが好きだったんだよね。でもそんなもんじゃん学生って。全く何もやっていないけど、ただただ内輪で自信が肥大化したヤツの方が、潰されることもあるだろうけど、社会に出てどうにかなる感じがして。

でも、やっぱり自己肯定感が強いヤツが強いかな。結局正解がない時代だから、いいんだよ俺は、って思える力がどんだけ育つか。ハッピーな人のところに人は集まって来ると思うんだよね。」

現在は編集者として活躍されている箕輪さん。編集者を目指すに至った原体験をこう語ります。

「僕は普通のキャリアを歩んできていて。私立の中高一貫校を出て、大学行って。そして就活を普通にしようと思って。でも1年目は本当にダメだった。

やっぱこんな感じだから適当に嘘ついて、電通とか一流企業入っちゃうよって思ってたんだけど、だいたい一次か二次面接で落ちたの。サークルでリーダーやってましたとか言って。やってないんだけど(笑)」

1年目の就活では選考もなかなか進めなかった箕輪さん。そんな中、内定が出た企業も。

「適当にへらへらしてたら全部落ちて。で、沖縄の瀬底ビーチリゾートっていう、沖縄の瀬底島のリゾートホテルのパラソルをさす係だけ内定した。そこは面接で嘘つかなかったの。沖縄が好きだし、パラソルとか刺したいし。刺す人カッコいいじゃん。ザッ、ザッって(笑)

当時は揺れ動いていたけど、これで良いんだと。俺はホテル王になるんだって思って。」

余談で、そのときの面接では、ICOのような共同通貨・全国チェーン化・固定客を作るという将来のビジョンについても語っていたそう。

ホテルについて学び全国展開させれば良い、と自分を納得させようとしていたようですが...。

「でも、そうはいってもみんな普通に日清、トヨタ、電通、博報堂とか行ってて…。一応俺は最高の人気者だったから、みんなに箕輪どこ行くの? って聞かれて、瀬底ビーチリゾートって言って。

周りはウケてはいるが、なんか、本当にこれで良いのかな、っていうのがあった時に、ある朝、携帯見たら瀬底ビーチリゾート倒産って書いてあって。」

倒産による突然の内定取り消し。再度就活をすることとなりました。

体験をどう感じるか

「俺、瀬底ビーチリゾート無いよねって。で、もう一回就活することになって。その時初めて自己を分析しようと思ったんだよね。嘘ついてちゃ受かんないよなと思って。

で、インドに大学生の時にひとり旅したことを振り返って…。窃盗にあったり、監禁されたりするんですよ。特に俺みたいなオープンなヤツだと、ヘイ、ブラザー! みたいな軽いノリでやってると一瞬よ(笑)。1日で4回くらい騙される。またか! って。本当ドッキリみたいな(笑)」

大体はライトなやつなんだけど、ヘビーなヤツが来て。宝石屋さんに連れて行かれて、もう本当に巧妙。罠にはまって、天井が低い部屋に座らされて監禁。で、宝石買えって言われて、宝石いらねーっていう、押し問答があって。

やっと出されたと思ったら、今度は灼熱のところで椅子に座らされてコーラ飲めって言われて。いや、飲まないですって。」

ガイドブックを熟読していた箕輪さん。そこにはインドでインド人に出された飲み物には睡眠薬が入ってるから飲むなと書かれていたそう。コーラを拒否し、死を覚悟して相手を押し倒し、箕輪さんは帰る宣言をします。

「何でもいいからくれって言われたから、持っていたドライ納豆と、俺当時まだテープレコーダーで音楽聞いている変なヤツだったんで、これでも聞いておけって尾崎豊のテープを渡して(笑)。

で終わった瞬間に心臓ばくばくしていて。本当に怖かったし、もうアドレナリン出まくりって感じで。

正義感が強い人は法律を整えた方が良いと思うところを俺はその瞬間にネットカフェを探して、今すぐあのネタをmixiに書きたいって思ったんだよね。全部小説仕立てにして。

やっていることはずっと変わっていなくて、大学の時からものすごくバズっていたんですよ、箕輪のmixi日記ヤバイみたいな感じで。

やっぱ僕ってあらゆるものをネタにするっていう性格だから、プロデューサーとか編集者がいいんじゃないかなって。2回目の就活で腑に落ちる形で、ウソじゃないって思って。そしたら集英社もフジテレビも最終まで行ったし。」

自身の経験を通じて方向性を導き出した箕輪さん。その後の就活では私服で面接に行ったり、卒業旅行から帰国した足で面接に行ったりと自由に取り組んでいましたが、最終的に双葉社に受かります。

「なんかね、一本筋が通って、就活ってものが楽しめたし、なんか拾ってもらえるところもあって。だから1回目の嘘の就活じゃない、2回目の就活はちゃんとできたなって感じだね。」

内なる対話・外との差別化

自己分析でインドの体験を足がかりに編集という仕事へ繋がった箕輪さん。これから学生たちが自己分析を始めるにあたり、このようなアドバイスをくれました。

「なんだろう、複雑にすると訳わからなくなっちゃうから、俺がやっているのは、自分がどんなヤツで、何がやりたくて、何故この会社か。その3つだけだね。

今だったら、何故この会社、だけじゃなくて、どう働くか、みたいなものに変わっているかもしれないけど、その3つをひたすら考えるってことじゃない?

僕が作っている本の起業家とかは本当すごくって、そこの太さ勝負だよね。SHOWROOMの前田裕二さんにしても、メタップスの佐藤航陽さんにしても、落合陽一さんにしても、そこは絶対に揺らがない強さがあるよね。

自分がどんなヤツで何がやりたいかと。そこが揺らがなくてキラキラしていれば、専門的な知識なんて無くても、みんなそのキラキラに集まって来るんだよね。だからその2つをいかに鍛えるかという話だと思う。

特に今なんて金も情報も人も一瞬で集まるから、どんだけ周りを引き込むかどうか、旗を立てられるか勝負だと思う。

さらに、個を立てるということが必要になってくるポスト平成について、箕輪さんはこう主張します。

個を立てるというのをわかりやすく言うと、99人がノーと言う中で俺はこれをやりたいと言えるかどうかだよね。それは自分なりの揺るがないポリシーや生き方があるかどうか。その強さを持てるか。それを強くするっていうのも個を立てるということの本質だよね。

仕事論で言うと、この人じゃないとできなかったよねっていう仕事じゃないとしょうがないよね。それが100億円の売り上げの仕事でも誰でもできるものではしょうがない。

で、今度俺は幻冬舎コミックスやるぞと言って。多動力とかもガンガン漫画化していくと。それもブランド人だよね。要は、誰もできない事ややっていない事を、箕輪ならできるよねってなるって事だよね。」

芥川賞や直木賞を輩出する幻冬舎の文芸ではなく、新たにビジネス書のレーベル立ち上げた箕輪さん。さらに漫画の分野でも幅を広げ、ブランド人としての実績を積み重ねていくと話します。

(次回に続きます)

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テキスト Y.Saitoh
編集 宮﨑大亮
バナーデザイン 山口ともみ


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