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“人を巻き込む”ための最適解はたった1つだ

「周りの人を巻き込む力はどうしたら身につけられるのか?」
これはプロジェクト・組織に属する、多くのビジネスパーソンが悩み続けている困難な課題の一つではないだろうか。

今回のメンバー図鑑では、そんな疑問をイベントプロデュースチーム(以下、イベプロ)リーダーで、箕輪編集室(以下みの編)の運営としても活躍する浅見裕(通称あざみっくす)さんに聞いた。

コンテンツ設計者という共通点

ーみの編に入ったきっかけは?

そもそも箕輪さんとの初絡みは2016年。編集者として活躍し、注目されていた箕輪さんが「秩父に移住する」というツイートに絡んでみました。

僕はその頃から1人でちちぶるという、秩父に住む人や秩父で遊ぶ人のためのWebメディアを立ち上げて編集長をやっていたので、「秩父案内しますよ」と言ったら本当に来てくれて。

ーたくさんのオンラインサロンがある中でなぜみの編に?

箕輪さんが「編集者」だったからですね。「もともとあるコンテンツを魅力的に見せる」ことで結果を出していたからだと思います。

僕も地方メディアの運営で「もともとあるコンテンツの良さをどう伝えていくか」ということを仕事にしていましたし、その方が楽しくてやりがいを持つタイプだったので、共通しているなと思ったんです。

本も地域もコミュニティも、あらゆることに「編集」という概念は通用するものなので、箕輪さんの編集力にはとても惹かれていました。

箕輪さんの発信内容もうなづけるものばかりだし、以前から注目していたこともあってオンラインサロンをやるって聞いてすぐ入ることは決めてました。

箕輪編集室は最初に募集した10名も、翌日追加募集した40名もすぐに埋まってしまうほどの人気でした。勢いがいいのは今も昔も同じですが、今と比べるとうんと小規模なサロンでしたね。

入ってすぐ迎えた「革命のファンファーレ1万部プロジェクト」

ーーみの編に入って「これは転機になった」と感じたイベントはありますか?

僕が入ったばかりの頃にスタートした「革命のファンファーレ1万部プロジェクト」の企画・運営ですね。これは西野亮廣さんの著書、『革命のファンファーレ』を発売前に1万部売ろうっていう企画で。

AbemaTVの『徹の部屋』で箕輪さんが出演した時に、見城さんから「箕輪、1万部くらい売れるだろ」っていわれてスタートしたんです(笑)。

ーなかなかのスタートですね。そこからどのように総指揮へ?

僕入ったばかりだったんですけど、「リーダーやります!」って言って。最初は手売り、ECサイト作るとか言ってたけど、箕輪さんが「ワクワクしねぇし、めんどくせー」って言ってちゃぶ台返しして(笑)。

そこから「1万人集めるイベントを企画して、1万部売ろうよ」っていう方向転換をしました。このちゃぶ台返しが、衝撃的で刺激的でしたね。天才編集者は「こうやってコンテンツを生み出すのか!」って思いました。

いくつもの企画を走らせるという複雑なものでなく、シンプルでわかりやすい“フルスイング企画”、ここに箕輪さんの編集力というかコンテンツを捉える視点があるんだと思いました。

2017年の10月1日にAbemaTVで放送された『革命のファンファーレ出版記念 3時間拡大スペシャル!』でイベントの内容が決まって、特別表紙の本作ってクラウドファンディング(以下クラファン)を行い、1冊1万円でやりましょうということに。

このイベントは秋元康さん、見城徹さん、小山薫堂さん、近藤太香巳さん、藤田晋さん、堀江貴文さん、西野亮廣さん、松村厚久さん、前田裕二さん、大石絵理さん、箕輪さんなど、今考えると揃ったことが奇跡に思えるほど豪華なゲストばかり。

堀江さんは肉磨き、前田さんは弾き語りをするなど、考えられないコンテンツが盛りだくさんの内容になりました。結果、1万円で限定本が1000冊売れた。でもこのイベントの全体運営は大変すぎて、本当に死ぬかと思いましたね(笑)。

(当時の苛酷さを思い出して頭を抱えるあざみっくすさん)

ー想像するだけで怖すぎます(笑)そのイベント運営で一番何が大変でしたか?

なんと言ってもゲストの顔ぶれもすごすぎるし、僕はどのゲストともつながりがなかったので辛かったですね。初めてのことが多くてどうしたらいいかわからない&コントロールできないことが多過ぎて。

イベント自体は足掛け半年だったんですけど、最初の3ヶ月は膠着状態(笑)。なのにクラファンの予算1000万円は集まっていて、パトロンさんもお待たせしてしまっている状態で。本当に吐きそうでした(笑)。

目玉企画が1000冊限定の特別表紙を作ることだったので西野さんとの打ち合わせもしなくちゃいけないし…みたいな。みの編至上一番ゴツかったイベントだと思います。それがきっかけでイベプロが立ち上がって、リーダーに就任したんですよね。

たった一人の熱狂が“渦”をつくりだす

ー“人を巻き込む”ために必要なポイントとは?

これはもう「たった一人の熱狂」に尽きます。イベントの運営でもいろいろ試したけど、やっぱりこれにたどり着きました。

そもそも人を巻き込もうとしているのが間違いで、「人が勝手に巻き込まれていく」ような状態が正しい。居場所の良さを作るにはゆるいつながりも必要な場合があるけど、熱量を上げていく時はやり方が違いますね。

ー熱狂を周りに伝播させていくには?

僕がやったマフィアカード:箕輪狂介のMV撮影に集まったエキストラのみの編メンバーをマフィア風に撮影し、フィクションのコメントをつけたTwitter投稿とかまさにそれですね。

毎日ひたすら更新してたら勝手に相関図作ったり小説書く人が出てきたり、みの編の2周年冊子にも取り上げてもらえた。これも最初誰にも頼まれてないのに、毎日更新&発信していたから話題になったんだと思います。

中途半端では人は集まらないし、ついてこない。いろんなやり方を試して実感しましたね。

ーこれまでに自分が熱狂できない、“やらなきゃいけないこと”とか出てきたことはないですか?

ありましたけど、“やらされ仕事”はしないようにしました。関わるメンバーが熱狂していないといいものは作れないから。そういう場合はノウハウだけお渡ししてました。

メンバーが熱狂していてもリーダーの熱量はあんまりという場合があったとしたら、熱狂しているメンバーにお任せする。ただ、「なんかあったら僕が責任持ちます」っていうスタイル。

さっき話した1万部プロジェクトの時の箕輪さんも「なんかあったら俺が土下座しにいく」って言ってくれてて。でも、僕は「何があっても箕輪さんには土下座させない」っていう気持ちでやっていました(笑)。

ー2人共、かっこよすぎます…!イベプロが立ち上がってから実施したイベントで心に残っているものはありますか?

1万部プロジェクトを超える大変さはなかったけど、今年2月にやった合宿ですね。

「ゆるくやろうぜ」っていうテーマだったけど、コンテンツをたくさん作ってみんなに楽しんでもらえるように設計して。コンテンツとしてはカラオケ・スナック・映画・漫画・箕輪食堂などをやりました。

このテーマにしたのも、箕輪さんが「これからは遊びが重要な時代になる」という意見を発信していたから。オンラインサロンはサロンオーナーに似るっていうけど、箕輪さんの方向性を常に注視してイベントで形にするっていうのは意識していますね。それが僕らイベプロの役割だと思ってます。


*2回目の記事はこちら
「みの編は“面白い”の原動力を体感できる場所。」


執筆 高下まみ
写真 大竹大也
バナーデザイン 惣島厚

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