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【日刊みの編NEWS】あなたの"そま"はなんですか?

おはようございます。箕輪編集室運営担当の高橋 和矢です。 
11月15日(日)の日刊みの編NEWSをお伝えします。

まず、"そま"ってなんやねん。という方も少なくないと思います。

"そま"は漢字で「杣」と書きます。

滑り落ちそうな山の斜面にある、ほんの少し平らになった場所を指します。修行僧や登山に入る人たちがほんのひととき安心して休める所で、昔は木こりを杣人とも言っていたようです。

僕は2018年の7月に美術家・篠田桃紅先生の著書『103歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』を読み、この言葉を知りました。

会社員としてハードに働きまくっていた僕にとって、安心して休める場所はありませんでした。常に仕事のことで頭がいっぱいで、仕事に追われ、人生を楽しめていませんでした。

この本は当時担当していた患者さんからお借りしました。長くみさせていただいていた方だったので、僕の状況を察して何か気づかせてくれようとしたのかもしれないな。と、今では思います。

その翌年の2019年、僕は7年半務めた会社を辞め、箕輪編集室に入りました。(就職したみたいに書いてますが、本当に就職したくらいの気持ちで入りました。)

話を"そま"に戻します。

誰にでも安心して休める場所は必要です。際限なく働き続ければ体調を崩しますし、インターバル(休憩)なしでトレーニングし続ければ怪我をします。寝ても覚めても悩み続ければ心を病みます。

当たり前のことでも、その渦中にいるときには気づけないものですよね。

1日の中のある時間、安心して休むことが必要です。長い人生の中のある期間、休むことがあってもいいと思います。

今、箕輪編集室でサウナ雑誌『サウナランド』を作っています。そのお陰で、サウナに行くことも、サウナについて考えることも増えました。

僕にとってサウナは、生活の中の"そま"でした。

薄暗くて狭い静かなサウナ室に篭り、水風呂で清め、椅子に腰掛けて整え、繰り返す。

雑念が消えて、前向きになっていきます。

みなさんにとっての"そま"はなんでしょうか?

広い意味でのサウナ?

完全に余談ですが、僕がサウナで特に好きなのは、浴場を出て休憩室で休んでいる時間です。小学校のプールの授業の後みたいな気だるさが好きです。

そのため、なるべく人が少ない方がいいし、リクライニングシートに座って余韻を味わえる場所があった方がいいです。

水風呂好きで知られる箕輪さんが水風呂のないサウナに行ってしまった時は、水風呂に入れなかったことも広い意味でのサウナだと考えるようにしていると言っていました。そうすると水風呂がないことに腹を立てたりせず、次の水風呂を楽しみに思えるのだそうです。

これを聞いた時は驚きました。理解が追いついていなかった僕は「おおー、そーなんですね。」と当たり障りのない返しをしつつ、心の中で、よく分からないんだけど、なんかすごい領域に突入されたことだけは間違いない。と確信しました。

今では、休憩所がないサウナに行った時は広い意味でのサウナだと捉えるようにしています。

終わりに

百人一首の中に、"そま"が出てくる次のような歌があります。

おほけなくうき世の民(たみ)におほふかな
わがたつ杣(そま)に墨染(すみぞめ)の袖

作者は前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん。1155~1225年)

現代語訳は、こんな感じです。

身の程知らずのことだけど、このつらい浮き世を生きる民たちを包み込んであげよう。
この比叡の山に住みはじめた私の、墨染めの袖で。

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テキスト / 高橋 和矢

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