特別公開 自立とは依存先を増やすこと
kindle総合第1位を獲得した『モチベーション革命』尾原和啓
初版に入りきらなかった幻の項目があります。
ここで特別に公開します。本書をまだ読んでない方も是非お読みください。
ちょっとだけ堅い話をさせてください。
変化する時代を生きるには、「好き」を磨くこと以外にも、大事なことがもう一つあります。それは、変化する時代では、変化しないでいることのほうがむしろリスクだということです。
なぜなら、今あなたが勤めている企業も、もしかしたら仕事も、すべてロボットにとってかわられるかもしれないからです。
よって、自分が依存する先が一箇所しかないと、その一箇所がつぶれたときに路頭に迷うことになってしまう。
変化する時代を自由に、自立して生きていくためには、何にも依存しないことではありません。むしろ依存先を一箇所にしぼらず、複数持つことが大事です。
「自立とは依存先を増やすこと」という言葉は、脳性まひの障害を持つ小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉です。
彼は、東日本大震災のときにエレベーターに乗られず、研究室から逃げ遅れた経験から、〝健常者は階段やはしごなどによって逃げる「依存先」が複数あるのに対し、障害者はエレベーター一択であったこと〟
つまり依存先がひとつしかないのが障害者の本質であると思ったといいます。
僕はこのエピソードを知ったとき、人間にとって代替しにくい強い依存先の代表こそ国家であると思いました。
トランプ大統領が移民に対して否定的見解を示したとき、多くのアメリカにいた移民が困惑しました。
一方で、国を超えて、複数の所属先に生きている人達も現れています。
僕自身もまた、日本だけに依存しない生き方を模索中です。ただ、それは一部の人間のみの特権と思われるかもしれない。
しかし、コツコツが報われる時代がきています。
Uber に貯まった高評価は、真面目に仕事をする、事故を起こさない優秀なドライバーの証明です。
しかもUber では、乗客とのやりとりを全てアプリが行ってくれるので、現地の言語や地理分からなくても働くことができます。
つまり、理論的には中国語圏でも、アラブ圏でも生きていけるということなのです。
渡航費用も、先ほどの車のローンのように真面目なドライバーなら確実に利息をつけて返してくれる良い投資ですから、投資家もあらわれるでしょう。
国家は今、余裕がなくなってきていて、移民に対し「お前はもう仲間じゃない」という叫びが広がっている。
だけど、インターネットによる信頼の可視化が、人の依存先を増やし、自立を促してくれると僕は信じています。
縁(ふち)に生きる人達は前の縁を捨てて、次の縁だけにすがらざるを得なかった。
でもネットはつながりを緩やかにするものだから、複数の縁を持つことができる。
そうすると、なにか依存先が壊れても、自立しつづけることができる。だから縁(ふち)にいるこそが安定する時代になってきているのです。
そして、この異なる色を持つ方々が仲間にいることが信頼のパートで語ったように変化の時代に力を発揮します。
こんなポストをした時に同行の師であるTEDxHimiファウンダーの川向正明さんが素晴らしいエピソードをコメントしてくださいました。
Use your strength (君の強みを使えば)
山道散歩してた親子の前に丸太が横たわっていて、子供が『ぼくにもできる?』と父親に質問したところ、
父親は
「You can do it, if you use your strength.」(もし、君の強みを使えば、君でもできるよ)
と言いました、でも1人で動かそうとして動きません。
そしたら父親が、
「 I'm your part of strength.」(僕は君の強みの一部だよ)と。
思い切って縁(ふち)に立ち、複数の縁を楽しみましょう。
そうすると、あなたの当たり前が誰かの「有り難う」に連なり、
そして、あなたの強みが誰の強みの一部になる。
素敵じゃないですか?
だから、世界が自分が余裕がなくなってきても、閉じて依存先を減らすのではなく、勇気をもって、誰かとつながり、誰かの強みの一部になりつづけていけたら素敵だと思います。
思い切って縁(ふち)に立ち、複数の縁を楽しみましょう。