熱狂の渦に飲み込まれずにオンラインサロンを使い倒す
「2019年はさらにオンラインサロンを使い倒す!」と宣言しているメンバーがいる。元運営メンバーであり、ライターチームでは電子書籍の編集も務める浜田綾さん。
箕輪編集室と並行してこの春まで「前田デザイン室」の運営にも携わっており、その活躍は多くのサロンメンバーが知るところ。
地方在住で二児の母。時間や場所に制約されていると思える彼女が、いかにしてオンラインサロンを活用しているのか。
入会間もなく、未経験だった電子書籍の編集に挑戦
――電子書籍『嫌われ者たちのリレー式コンテンツ会議』では編集リーダーを担当されています。2017年7月に箕輪編集室に入会、その翌月に出版ということですよね。
浜田:はい。私は編集のことを知りたいと思って箕輪編集室へ入ったので、何かしたいな、とは思ってたんです。入会した当時(2017年7月頃)は、別の企画の方が圧倒的に盛り上がっていました。
ある超インフルエンサーさんの書籍で、最近までお蔵入りしていた企画です。その書籍を作ろう、と箕輪さんがFacebookで呼びかけると「やりたいです!」って手を挙げる人が殺到していました。
でもね、私はちょっとひねくれているので(笑)、興味はあったんですけど「今、私が入っても何もできないだろうな」と思って、そこには参加しなかったんですよ。
そして、またFacebookを眺めていたら『嫌われ者たちのリレー式コンテンツ会議』というnoteの記事を電子書籍化するプロジェクトを見つけて。「これはまだ誰も動いてなさそうだな」と目に留まったんです。
この著者の中にはあちゅうさん、イケハヤ(池田勇人)さんがいらっしゃいますけど、私自身、ブログを書いてるということもあって、彼らのブログやTwitterはよくチェックしていました。
「好きなブロガーや編集者さんの作品に携われる。これはやりたい!」と手を挙げたのがきっかけです。
――未経験の編集でいきなりのリーダー。不安はありませんでしたか?
浜田:やったことないのに手を挙げるって、やっぱりビビりますよ! みの編の自己紹介を見ると「私は○○を担当しました」「書籍編集のお手伝いをしました」って経験のある人がすごく多かったですし。
だから「未経験の私がリーダーでいいのかな?」って思ったこともあるんです。そしたら、その頃はたむけん(『mint』創業者の田村健太郎)さんがみの編のFacebookでアクティブに発言されていたんですけど、このようにコメントをくださったんです。
「今必要なのは経験があるかないかということよりも、この本のことを一番に考えられる人です。だから、浜田さん主導でやってみてはどうですか?」って。それを聞いて「だったら、私でもできるかも」って思えたし、この言葉は本当に今でも心に残っています。
電子書籍は分からないなりにもなんとか完成したのですが、思っていたほど売り上げが伸ばせなかったのが反省というか、悔しいですね。やっぱりたくさん売りたかった。
でも、作った人が広めて売らないとたくさんの人に届かない。そのあたりの考えが私はまだ甘くて、売るための努力が足りなかったな、とすごく反省しています。
でも、そのときの悔しい思いがあるからこそ、次こそがんばろうって思えるんですけどね。今は事情があって流通がストップしているので、もう一度販売できるようにこれからまた動きたいです。
――その後は運営チームとしても活動されていましたよね。
浜田:2018年の2月に運営チームができたときに柴山由香(箕輪編集室メンバー兼箕輪さんの秘書)さんに誘っていただいて、その年の12月に卒業させていただきました。
柴山さんとはそれまでに、箕輪さんの会社「波の上商店」のホームページ制作でやり取りをさせていただいたことがあります。アートディレクターとして前田高志さん(箕輪編集室メンバー兼「前田デザイン室」室長)がデザインを受けていたので、私も箕輪さんのポートフォリオ集めなどを手伝っていたんです。
コミュニティの中で熱意のある人や自ら動こうとしている人って、だんだん見えてくるじゃないですか。私の場合、ホームページ制作でのやり取りだったり、電子書籍の編集リーダーとして活動していました。
柴山さん本人に聞いたわけではないんですけど、運営チームに声を掛けていただけたのは「熱意がある」と思ってもらえたからかもしれません。
――運営というと密なコミュニケーションが重要になりますよね。地方在住だとオフラインで会う機会が少ないですが、「やりづらさ」を感じたことは?
浜田:あります! まあ、これは柴山さんも知ってることなんですけど、当時はちょいちょい拗ねてましたよ(笑)。「それいつ決まったんですか!?」とか、知らない間に話が進んでいたこともあって。「そんなの知らないですけど!」みたいな。
でも、コミュニティにはいろんな立場の人がいて、いろんな意見がある。私はそういう人たちの代表として思ったことを言おう、と考えるようになりました。
一度はROM専に。サロンへの熱を取り戻したのは、オフラインでの出会いだった
――コミュニティに入り込めない、オンラインサロンを活用できないと悩む人もいます。
浜田:私は『嫌われ者たち……』を出版後、しばらくROM専だった時期があるんです。ものすごい勢いで作っていたので、その熱を保ち続けるのはしんどいと感じてしまって。
「コミュニティにベットする」っていう言葉がありますけど…、全員がそこまで熱狂するのは難しいよね、と当時は思っていました。そうして2、3カ月ROMが続いていたとき、以前から好きだった編集者・柿内芳文さんが定例会に来られることとなって東京へ行きました。
同じ頃、関西ではみの編関西チームの初代リーダー・トム(村田敏也)さんが企画して箕輪さんを京都に招いた修学旅行(箕輪さんが地方へ行った初のイベント)開催されて、立て続けにイベントでメンバーに会う機会があったんです。
やっぱり箕輪さんとお話できたら嬉しいし、みの編メンバーとも会って話せて楽しかったんですよね。
――中には短期間で「何をしていいか分からないから」と退会してしまう人もいますよね。
浜田:合わないと感じたのならいいんだけど、コミュニティへの入りづらさを感じる人がいるなら、その入りにくさはなくしたいですよね。
私自身、最初はみの編のチームに(Facebookのグループに)参加申請するのもはばかってたんですよ(笑)。「“こいつ、何もしないのに入ってる”とか思われたら嫌だな」っていう謎の自意識があって。
今思えば「誰もそんなの気にしてへんわ!」って感じなんですけどね(笑)。でも、同じように感じている人はいるかもしれないし、そういうのはなくしていきたいと運営チームにいる頃から思っていました。
今は少し変わってきてるかもしれないけど、みの編はプロジェクトを動かすときはメッセンジャーよりもスレッドでやり取りする、というのが方針としてあり、私もそう心がけています。
そうでないと、プロジェクトには参加していないけど興味を持っていたメンバーにとっては、いつの間にか「あれ? 決まってる」みたいなことになってしまいますよね。そういうのがあると、入りづらいかなって。
だからつい最近まで冒頭でお話したお蔵入りになっていたあるインフルエンサーさんの本を制作していましたけど、制作過程のやり取りはスレッドでオープンにするよう徹底していました。公平性を保つという意味もあるし、やり取り自体が財産になると思うので。
「地方在住」はハンデではなくチャンス
――地方で活躍するのが難しい、と感じる人も多いですよね。
浜田:地方ってむしろチャンスなんですよ! ちょっと頑張ったらすぐ目立てるし。地方を逆手にとった方がいいです。
箕輪さんが出版の仕事をされていて、出版の本拠地が東京だから、みの編の拠点が東京というのは変わらないと思うし、そこは仕方ない。でも、地方は地方でいくらでもできますよ。
「奈良健康ランド」(2019年3月に関西チームでコラボイベント開催)とか、地元ならではのところとコラボするというのは一つの可能性ですよね。
最近では箕輪編集室でヘラブナの連載(『月刊へら専科』での連載)が始まるみたいですけど、関西チームで雑誌の連載を受け持ったりできたらすごいですよね!
前田デザイン室で『マエボン』『NASU本』を作って嬉しかったのは、紀伊國屋書店とか自分の知っている経済圏に自分の作ったものが置かれるということだったんですよ。
それって地方でもできることだし、むしろ地方の方がやり方によってはおもしろいことができるはず。もちろん、コラボありきの活動がいいってわけではないですけど。だから、地方チームは日頃から集まってチームワークとか取材力とかを高めていけたらいいですよね。
「私はひねくれてるから」と取材中に何度も口にした綾さん。しかし、単に「みんなと同じ」を避けているのではなく、熱狂の波にのまれることなく自分の力が発揮できるタイミングや場所を見極めているようで、「オンラインサロンを使い倒す」のに絶好の強みなのだろう。
後半では、ライターとしてのキャリアや今後の仕事についての思いを尋ねた。
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テキスト:イノウエカズオ、今井慎也、古奈正貴、月白イオリ、佐伯美香
編集:奥村佳奈子
写真:永田謙一郎
バナーデザイン:惣島厚
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