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言語化できなければ、どんな経験も無意味

※この記事は1月19日に静岡県立大学で行われた講演会『時代の読み方』(主催:COCOA)の内容をまとめたものです。

*前回の記事はこちら

経験から自分の本質を掴む

「正しいことより楽しいことを」を座右の銘に掲げ就職活動に臨んていた箕輪さん。その言葉は大学時代に訪れたインドでの出来事が原体験となっているそうです。

「インドって本当に、マンガか! ってくらいトラブルに巻き込まれるんですよ。午前中窃盗にあって、午後監禁されて、夜暴行されるみたいな。僕インドで宝石商みたいなやつに監禁されてたんですよ。

ずっと『宝石買え』って言われたけど、宝石マジいらねえやって思って『いや買わない」って言って。そうしたら今度は灼熱のところにずっと座らされて『コーラ飲め』って言われた。でも『地球の歩き方』に出された飲み物は睡眠薬が入ってるから絶対に飲むなって書いてあったから『飲まない』って言って。

散々そんなやり取りをして、最後はそいつすげぇ痩せてたから俺絶対勝てるなって思ってバンって押したら『ソーリー』とかって言って。なんだ逃げていいんだ、みたいな(笑)。それで逃げて大丈夫だったんだけど、そこで思ったのは人によってその体験をどう消化するかが違うということ」

体験の消化の仕方は人により異なります。例えば、このインドでの体験を受けて根本には格差の問題があるから社会課題として仕組みから解決すべきだと思い行動に移すパターン。しかし、箕輪さんの場合は「今すぐネットカフェに行ってmixiで日記を書きたい」だったそうです。

あらゆる困難も嬉しいことも辛いことも全部ネタにして発信して、それで面白いって言ってもらいたいっていうのが自分の快楽、行動原理なんだなぁと思ったときに、『正しいことより楽しいことを』っていう言葉が出てきた。

99%の人が正しいことのために動かないと世の中が回らないけど、残り1%くらいは面白いことのために行動する人がいてもいいんじゃないかなって思った。で、俺は絶対そっちだなぁって」


思考の言語化を習慣化する

実体験から自分の本質を掴み、それを次の具体的な行動に落とし込む。その過程では“言語化する力”が必要となります。箕輪さんの場合、「自分はインドの経験みたいになんでも楽しいと思って発信するのが好きな人間。ふざけるのが正義だと思う人間。

何がやりたいかっていうと、俺がふざけることが金になること。だったら出版社の編集とかテレビ局のプロデューサーだなって思って、就活ではそこに絞った」というように、インドでの体験から自分自身の本質を言語化し、仕事選びに落とし込んでいます。

“言語化する力”はどのように身に着けたのでしょうか。それについてはこのように語っています。

「大学時代から大勢の前でずっと喋ってた。今は大学のキャンパス内で酒飲んじゃいけないらしんですけど、当時はそんなことありえなくて。学食でビール出て、まぁそれも僕が飲んで騒ぎすぎて発売中止にはなったんだけど(笑)。

で、キャンパスの隅の方にテラスみたいなイケてる場所があって、そこに毎日氷と泡盛を後輩が用意してくれてた。そこで俺は飲みながら大勢の前で『俺はこういう人間だ』とか『お前はそういう人間だ』とか言ってた。『お前は授業なんか出てるから駄目なんだよ』って言ってるのに『ちょっと俺の出席カード出しといてくんない?』って頼むっていう(笑)。

だからね、多分喋り続けてきたから思考を言語化するのがうまくなったし、習慣になってそこのブレがはずっとないかな。僕の下に入ってくる人間とかに聞くと、あまりにも自分の思考を言語化する習慣がないから愕然とするっていうか。能力以前に自分のやりたいこととか、自分が何者かとかを言語化できないと頑張りようがないというか。

SHOWROOMの前田裕二っていう若いイケてる社長は『人生にコンパス持たなきゃいけない』って言ってるんだけど、本当にコンパスを持たずに歩いている人が多いから、そこは駄目だなぁと思ってます。本当にコンパス持っている人には絶対に勝てない。

だから喋るっていうのは大事だし、言語化するっていうのはかなりウエイトとしてはでかい」

(次回に続きます)

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テキスト・編集 / 石川遼篠原舞

写真 池田実加

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