「箕輪厚介」と「BRUTUS」 真逆のものを同時に成立させるデザインを【BRUTUS制作note】チーフデザイナー 平岡和之
箕輪編集室デザインチームリーダーのヒラオカです。
『BRUTUS』9/2発売号「真似のできない仕事術」のブックインブックを箕輪編集室で制作するにあたり、僕はチーフデザイナーとしてアートディレクションを担当させていただきました。
※ブックインブック(BOOK in BOOK)とは、雑誌内の綴じ込み冊子のこと。
ここでは、「BRUTUS」と「箕輪厚介」という、真逆の存在を同時に成立させるまでの、考えやデザインの軌跡を公開します。
このプロジェクトにおける「アートディレクション」
「アートディレクション」といっても、具体的に何をするのかすぐには思い浮かばない方が多いかと思います。
今回のBRUTUSプロジェクトでは大きく2つの役割を担っていました。
1つ目はデザイン。今回僕は3企画のデザインを担当しました。ブックインブックの表紙、前田裕二さんインタビュー、西野亮廣エンタメ研究所の紹介です。
2つ目はディレクション。ページごとのデザイナーの選出に始まり、デザインに関わるスケジュール管理、各デザイナーが提出してくれたデザインの最終的なクオリティチェック、仕上げを行いました。
▼大学生デザイナーのニトロにもページを担当してもらうことに。
そんな僕が、このプロジェクトに関わるにあたって、強く思っていたことが5つあります。
1 “あの”雑誌『BRUTUS』のデザインを吸収したい
2 『BRUTUS』の編集に触れたい
3 箕輪さんの編集に触れたい
4 自分以外の人の成長や経験にもつなげたい
5 でも、絶対にクオリティにはこだわりたい
特に5には細心の注意を払いました。
クオリティを担保するために僕が特に注力したこと。それは「箕輪厚介」と「BRUTUS」という一見真逆の性質を持つ存在を同時に成立させるということでした。
「神は細部に宿る」を体現する雑誌
今回、BRUTUSの制作に携わらせていただけることが決まってから、バックナンバーを漁って読み返しました。
その時に改めて心惹かれたのは、BRUTUSの持つ、時代に左右されない洗練されたカッコよさ。
「雑誌は、細かい部分でテイストが決まる」
僕が職場で新人デザイナーにはじめに教えることです。(僕は本職でも雑誌のデザインをすることがあります)
「細かい部分」というのは文章同士や画像同士の距離、文字のサイズなど。これらがミリ単位で設定されています。この細かいルールの積み重ねが"BRUTUSらしさ"を形づくっているのです。
そのルールは時代に合わせて少しずつ変化しています。それでも“BRUTUSらしさ”は損なわれず、およそ40年にわたって引き継がれているところに、この雑誌のすごさを感じるのです。
表紙はまるで「走馬灯」のように
担当したページの中でも、特に自由にデザインさせてもらったのが、ブックインブックの表紙です。
デザインするにあたって、BRUTUSのバックナンバーをいくつか見返してみたところ、ブックインブックの表紙は比較的自由にデザインされていることが分かりました。そこで、フォントの使い方だけはBRUTUSらしくし、あとは自由にデザインさせてもらうことに。
どんなデザインにしようか。
BRUTUSを購入した方が、ブックインブックのページまでたどり着いた時に表紙を見てその先に続く中身が想像できるようにしたい。
そう考えた時、頭に浮かんできたのが「走馬灯」のイメージでした。さまざまなイメージが脳裏に次々と表れては過ぎ去っていく。まさにブックインブックの内容が頭の中を次々に通っていくかのようなデザインを作ろうと考えたのです。
▼完成した表紙のデザイン
「箕輪厚介」と「BRUTUS」真逆のものを同時に成立させる
僕が特に意識したのは、“BRUTUSらしさ”と箕輪厚介、そしてその頭の中にある突き抜けた企画を共存させることでした。
洗練されてスタイリッシュな「BRUTUS」と、型破りで世間に異彩を放つ「箕輪厚介」をいかにして共存させるか。
この課題が、僕の頭を最も悩ませ、同時に最も楽しませてくれたポイントです。
悩み抜いた末、渾身のデザインに仕上げました。ぜひ、お手に取って実物を見ていただけたら嬉しいです。
おわりに
ブックインブック 「心を奪う仕事術」全8ページの収録された『BRUTUS』900号「真似のできない仕事術」。全国の書店、コンビニエンスストア、Amazonにて680円(税別)で購入できます。
このブックインブックでは、現在、累計発行部数が39万部を超える『メモの魔力』著者の前田裕二さん、2万人の会員数を誇るオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」、そして天才編集者・箕輪厚介がオーナーをつとめる「箕輪編集室」を特集。
「なぜ人は心を奪われてしまうのか」「いかにして心を奪っているのか」を論旨明快に解明しています。
企画、編集、ライティング、校正、撮影、デザイン、そしてより多くの読者の皆さんにお届けするためのプロモーションに至るまで、箕輪編集室メンバーが行なっています。
お金は一銭たりとももらっていないどころか、むしろ毎月6,000円という決して安くない金額を支払っている僕たちが、なぜこのような“タダ働き”するのか。
その理由の本質がこの一冊に詰まっています。
ぜひ、お手に取ってご覧になってみてください。
話し手/平岡和之
テキスト/ニトロ、小野寺美穂
編集/金藤良秀
バナーデザイン/松儀愛侑
▼LPサイト 箕輪編集室責任編集「心を奪う仕事術」の情報がすべて詰まっています!
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お問い合わせ:minowa.et@gmail.com