自らの価値観を自覚して、体現する
こちらは7月21日に宮崎で開催された「地方×編集力」と題した講演会の書き起こし記事です。
価値観を体現する人が強くなる
箕輪:今何が起きてるかっていうと、人が孤独になってるの。TVしか面白いことがなかった時代は、TVの前にみんなが座って見てた。だから、会社や学校で野球やドラマの話とかをすることができて、みんな好きなものが同じだった。
でも、今はスマホっていうものができて、永遠に自分にとって興味あることを提供してくれるわけじゃん。だから、同じ職場で隣の席で仕事してても「え、何それ? 知らないよ」ってことが当たり前で、共有できることがない。
そういう孤独さから生まれたのがネットのコミュニティなんだよ。ネットで好きなものや価値観を共有できる人たちと集まるのがオンラインサロン。で、そういう居場所を作れる人になるためには、誰よりも体を張ってネタを提供し続けられるかどうかだと思う。
例えば、僕は格闘技したり、ゲストでいろんな人を呼んだりする。そうするとサロンメンバーは、飽きないから楽しい。僕が「死ぬこと以外かすり傷」っていうスローガンを誰よりも体現しているから。西野さんやホリエモンもそうだよね。価値観の体現者だよ。
オンラインサロンは宗教ビジネスって揶揄されるんだけど、ある意味そうなんだよ。居場所がなくなった今、何が拠り所になるかと言ったら思想なんだよ。宗教っていうのは、思想や価値観を売ってる。だから、こういう考え方が好きだって思わせることができる人や企業が強くなる。
(オンラインサロンが)宗教と違うのは、自由で弾圧されないことだよね。それによって、すごく風通しがいいコミュニティになる。だから、オンラインサロンは今後時間とお金が余って、みんなが暇になってきた時に超強くなると思う。
やりたいことが明確なら技術は身についていく
質問者:僕は性格上すぐ行動はできるんですが、思考ができていないことが多いです。どうしたら思考ある行動ができるようになりますか?
箕輪:ゴールを考えて行動することだよね。就活とかしたことある?
質問者:就活はしたことないです。
箕輪:就活をすることは意外にいい。だって、人生において自分が進むべき道を本気で考えることってあまりないんだよね。僕が就活の時に考えていたのは自分は何者で、何がやりたくて、なんでその会社なのか。その3つをずっと考えて、行動してた。
質問者:自分は「思考0×行動100」だから何もないんですね。
箕輪:それでも楽しければいいんだけど、僕は死ぬほど考える。異常に行動しながら異常に考えてる。効率よくしたいというか、人生において何かを積み上げたいなら考えた方がいいよねって話。でも、考えないっていうスタイルもあると思うよ。
毎回積み木を積んでバーンって壊すスタイルもありだからどっちでもいい。積み木を積み上げたいなら、自分は何者で何がやりたくて、今何をしているのかを常に考えればいいと思う。でも、カオスに生きるのもありだから自由にして!
質問者:仕事においてテクニックが必要な時とそうじゃない時ってどのように線引きされているんですか?
箕輪:テクニックが必要なことは一個もない。結局そいつが真剣かどうかの一点なんだよ。超小難しい編集技術やマーケティング技術とかって頑張ってれば身につく。だから、本気で求めてるかどうかじゃない?
自分が根元的に何をやりたいのか明確なら、テクニックは身につくよ。編集も僕より上手い人はいっぱいいると思う。でも、僕はこの本でこういうことを伝えたいとか目的が明確なの。そのために誰よりも頑張るから、気づいたら技術的に上手い奴らにないノウハウを持ってるわけよ。
就活の時、僕は楽しければいいっていうタイプだと気づいたから、出版社やTV局を選んだ。面白いことを本や番組にしていく仕事だから、編集技術なんてどうでもいいじゃん。そういうふうに自分で自覚してるのが大事だよ。何が一番自分のアイデンティティとして興奮できるか知ってるのは強い。技術なんてそのために必要な手段だから。手段と目的が逆転したらダメ。
例えば、小器用な人に傘を探せって言ったら、全世界からいろんな傘を持ってくる。でも、傘がほしいっていうことは雨に濡れたくないんだと分かると、地下道を案内しようとか天気予報を教えることができる。そういう本質的な目的を見定められることが一番大事。
いいものを作っても、そこに自分のアイデンティティがなかったら、で? みたいな話だから。それよりも自分はこういう人間だと言えることが大事だと思う。僕も自分って何だろうとずっと考えてたもん。そこでブレない軸を作れたら、ガーンっていけるから中途半端にやらない方がいいよ。
質問者:自分のアイデンティティを言語化するってことですね。
箕輪:言語化っていうか、大学の友達とかとたくさん話すのが大事だよ。言葉にしていくうちに分かってくるから。
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テキスト 壁井裕貴
編集 壁井裕貴 橘田佐樹
写真 Ikegami Hitomi