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箕輪プロデュース、神社アップデートの本質

箕輪編集室メンバー紹介企画! 今回は、現役の神職であり、箕輪編集室の神社プロデュースチームで神社のアップデートを仕掛けている、小野亮貴さんにお話を伺いました。

*前回の記事はこちら

本質を捉え、守るために変える

服部:「神社をアップデートする」ってどういうことなんでしょう?

小野:アップデートってすごく箕輪さんっぽいですよね。神職である僕自身が「神社アップデート」というと、もしかすると傲慢な言い方になってしまうかもしれないんですが…僕は神職として神社に関わる中で、50年後も100年後もなるべく変わらない景色を残したいと思ってるんです。

でも、変わらない景色を残すためにはいろんな手を打たないと難しい。ずーっとただ同じことをしてたら絶対に守れないんです、1000億%(笑)。だって周りはテクノロジーが進化してどんどん変わっていく中で、ずっと同じで成り立つビジネスモデルなんて、はっきり言って存在しないですよね。

それにどんな文化や伝統も、今まで全く変わってないかっていうと変わってるんです。50年前と全く同じ景色の神社ってほとんどない。それでも田舎に帰ってお参りすると「あー、懐かしいな」って思う。それってたぶん、空気感だったり、本質的なものが変わってないからだと思うんです。

50年前と変わらない祈りが、ずーっと脈々とそこに届けられている。変わらないものを残すための変わる努力をそれぞれの世代がしているんです。何を残すか、何を変えるか。守りたいものを守るには、その本質を理解して、より良い答えを常に探し続けないと難しいですよね。

服部:具体的にはどんなことが必要なんでしょうか?

小野:もっと分かりやすく伝えていかないといけないのかなと思っています。神社ってすごくいいことを伝えてるし、やってる。でも、世代の違いや知識の壁もあって、難解に聞こえたり、若い人に響いていない部分って多いと思うんです。

15年くらい前までは、まだ時代背景として昭和の文脈がまだ生きていて、「普通」とか「一般的に」という感覚が比較的機能していたと思うんですよね。その中で神社や神道、日本文化、地域コミュニティの基本的な理念や在り方が言語化しなくてもなんとなく通じていて、その上に立って話ができたんです。でも今は生活環境も多様化が進んで情報も分断されていますから、当然基本的な話法も変わってきます。

服部:「普通」ってなんなんだって話ですよね。

小野:そう、箕輪さんから一番学んだのはそこです。生活環境も変わって多様化が進んでいますし、情報もインターネットで完全に個々が選べる時代で、一人ひとり「普通」や「一般」という感覚が違うんです。

だから、対象に刺さるように伝える。時代に合わせ、伝え方のアップデートをするってことですよね。「神社ってね」とか「日本文化ってね」って、そういう前提から共有して「あ、なるほど!」って興味を持ってもらって、実際に見て体験してもらって…。こういう段階を踏むことが大切なんだと思います。

30代中盤の私たちの世代は、個として圧倒的に手を動かして研鑽を積みつつも、神社の伝え方や関わり方を時代に合う形にデザインし直していくというアプローチに励まないといけないと思っています。

誓いをアップデート。「お守り2.0」で届けたい本質

服部:7月7日頒布予定の「#多動力守」「#圧倒的努力守」について教えてください。

小野:これは健康や縁結びのような幸せな状態ではなく、「行動」や「概念」を身につけることを祈願する新しいお守りなんです。何かを身につけるには強い意志が必要ですよね。だから、明確に言語化して誓願紙に誓いを「書く」こと、そしてSNSで#(ハッシュタグ)をつけて宣言することで、自分の誓いを明らかにするというデザインになっています。

自分自身で想いを言葉にするって結構カロリーが高いんです。自分の願いを書いてみたら、あまりにも陳腐でくしゃくしゃってしたくなるようなことも出てきますよね(笑)。自分と対峙して想いを言葉にしていくと、想いは次第に明確になって、強くなります。

どれだけ本気で願いと向き合っているかで叶う度合いも変わる。神職って神様と人との仲執り持ち(なかとりもち)っていう立場なんですが、想いを強めてもらって、その状態で神様の前に行ってもらう場を作るというのも大事な役目ですね。

服部:お守りを作っていく中での気づきなどはありましたか?

小野:新しいお守りの中に「コミットメント」という言葉を入れられたのは、すごく意義があることだと思っています。お守りにコミットメントってめっちゃ本質的じゃないですか。ぎりぎりのところまでエッジを立てたからこそ、本質的な部分に触りにいけた良い例だと思います。

そして今回は、想いを「書く」だけではなく、SNSで「シェア」することで、インターネットを通して多くの人と繋がることができる。自分が一歩踏み込んで宣誓をすることで同じ志を持った人たちと想いが重なり、良い循環が起こるような場をインターネット上に設計しました。といっても、僕一人で考えたことではなく、箕輪さんのアドバイスが元になっていますね。

服部:アナログとデジタル、両方あるんですね。

小野:そうですね。未来のお守りを提示したいわけではなくて、今という時代を生きる人に寄り添ったお守りを作りたかったので、どちらかに振り切るという選択はしませんでした。大事なのは本当に伝えたい本質をどうやって届けるかで、エッジが立てば立つほど、受け入れられる間口も狭くなってしまいますから。

今回のお守りでいうと、誓いを書いてお守りに納めて持ち歩き、何かあった時に見返して決意を新たにしてもらう行動ってアナログな部分で、多くの人たちに納得してもらいやすい。

そして、アナログで基礎的なものが担保されているからこそ、#(ハッシュタグ)によってインターネット上で想いを共有しあって、繋がっていくという新しいデザインにやっとチャレンジできたんです。

あと、今回のお守りを作りながらチームの皆で話していたんですが、「#多動力守」とか「#圧倒的努力守」を志す人って多分圧倒的に手を動かしている人で、そういう生き方を選択すると3ヶ月前の自分からは想像できない自分がいるわけです。

そういう人たちが節目節目で立ち止まって振りかえって、また心を新たに誓い直すことを習慣化してもいいんじゃないかと思うんです。誓いもアップデートしていこうよと。すごくみの編らしいですよね(笑)。

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聞き手 服部祥子
テキスト 神谷侑世 三枝窓香
編集 世良菜津子 服部祥子 
写真 壁井裕貴  服部祥子 
カバーデザイン 前田高志

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