出版業界初の本は、自分が読みたい言葉で書かれた本だった ~『戦略と情熱で仕事をつくる』発売記念 著者・編集者インタビュー前編~
「好きなことで生きていく」とは、どこかで聞いたような言葉ではないでしょうか。
2019年7月24日(水)、ダイヤモンド社からビジネス書『戦略と情熱で仕事をつくる』が発売します。この本は著者、編集者、ライター、デザイナーなど制作陣全てが、箕輪編集室(以下=みの編)メンバーです。
これは出版業界において初の試みとなる一冊。出版業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
そして『戦略と情熱で仕事をつくる』は、自分の好きなことを「戦略×情熱」で仕事につくり変え、本当に「自分の好きなことで生きていく」ことを実現した、ボードゲームソムリエの松永直樹さんの生き方を描いた一冊です。
発売に先駆けて、著者・松永直樹さんと、担当編集者・木村香代さんにインタビューを行いました。今回は、同書籍が生まれたきっかけや制作の取り組みを、前編・後編に分けて2日連続で公開します。
〈プロフィール〉
松永直樹(まつなが・なおき)
ボードゲームソムリエ、ボードゲームデザイナー。『7つの習慣(R)』のボードゲーム制作のオファーされデザイナーデビュー。クラウドファンディング「Makuake」において、日本で行われたボードゲームのクラウドファンディングプロジェクトで史上初の1000万円を突破。2年後の「7つの秘宝」でもクラウドファンディングでも、1000万円を突破した。現在はボードゲーム開発や監修だけでなく、メディア活動にてボードゲームの魅力の発信している。
木村香代(きむら・かよ)
ダイヤモンド社書籍編集。大学卒業後、レコード会社を経て、スターツ出版で雑誌編集に携わる。その後、ダイヤモンド社へ転職しマネー雑誌『ZAi』 を経て書籍編集部に。『改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての投資信託』、『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』ほかマネー本を数多く担当。2児の母、韓流好き。
幻冬舎ではなく、なぜダイヤモンド社だったのか
ー今回の制作陣は全てみの編のメンバーということで、オンラインサロンと本を作るということは、出版業界でも初の試みだったのではないでしょうか?
木村:オンラインサロンとがっつり組んで出すのは出版業界で初だと思います。出版するダイヤモンド社内でも「なぜ?」と、思っているはずです(笑)。
松永:やっぱり、そうなんですね(笑)。
木村:おそらく傍から見ているみの編のメンバーも「なんで幻冬舎じゃないの?」と思う人が多いんでしょうね。
松永:たしかにそうですよね。落ちついて考えると、普通は箕輪さんが勤めている幻冬舎から出ると思いますよね。
ーどうして木村さんは、みの編と組もうとしたんですか?
木村:理由は色々あります。今って、コミュニティがないとなかなか本が売れない時代なので、悩んでいたんです。
もともとまったく別の目的でみの編には入っていたんですが、ある時「みの編で本を作ってみたらどうだろう」と思ったんですね。
みの編はオンラインサロンとしてNewsPicks Booksを販促しているイメージが出版業界にも定着しつつあります。なので、みの編と組んだ時の効果を、ダイヤモンド社だけじゃなくて、他の出版社も気付いていると思うんです。
多分、他の出版社もみの編と組みたいんじゃないかな。もしかしたらですが、数ヵ月後に似たような本が出てくるんじゃないかなって。
松永:そうは思っても、なかなかできないと思いますよ?
木村:でも、うちの会社は割と自由で。とりあえずやってみる、「思いつたら飛べ!」みたいな。
松永:飛べ(笑)。
木村:もちろん、やるならトップを目指しますよ。最初は、みの編のライターチームとデザインチームだけにお願いするつもりでしたが、運営の柴山由香さんにご相談したら「全員でやりましょう」と言われて、PRチームなどいろんな人が協力してくれることになったんですよ。
初の試みなだけあって多少尻込みした部分はあったのですが、みの編のみんなが応援してくれたので、勢いよくできました。
松永:経験としてこんなことができるのもチャンスですよね。
木村:そうなんですよ。
ー何か狙いがあってみの編と組もうと思ったのですか?
木村:やっぱり「読みたいものを、読みたい人たちが作る」っていうことをやってみたかったんですよ。
その本を読みたい世代の人が、自分たちの言葉で本を作る。自分たちが手に取りたい本の装丁を、自分たちのデザインで作る。そうすれば面白いものができると思って。
成功の秘訣は「自ら困難に飛び込むこと」
ー著書として、本を作り始める心境はどうでしたか?
松永:最初、僕には本を出すことは早いのではないかと思ってました。本って著者の人生とかがたくさん詰まっているものじゃないですか。
僕はボードゲームで世界一になりたいと考えているのですが、まだそこに到達していないから、今の自分に本を出せるほどのものがあるのか疑問でしたね。本当に自分が本を出していいのかな...って。
ーそれでも、出そうと決めたのはどうしてですか?
松永:僕の中で成功するための秘訣みたいなのがあって。それは、「これヤバイなって思うことに飛び込むこと」なんですよ。
これまで困難に飛び込んだことが何度かあって。1回目がボードゲームを買いにドイツへ行った時で、2回目が会社を辞めようと思った時です。3回目がボードゲーム版の『7つの習慣(R)』を制作した時です。どれも飛び込んで良かったと思ってます。
だけど、『7つの習慣(R)』で成功体験を積んでから、あんまり困難に飛び込むシュチュエーションがなかったんです。ある程度、企業からボードゲーム制作のオファーをいただくようになって、それを繰り返しているうちによくある日常になっていったんですよね。
それまで行っていた、いろんなコミュニティにも足を運ばなくなっちゃってて。それまではいろんな場所に行っていたんです。なので、今回本のオファーが来た時は、初めての挑戦だから受けたというところはありますね。
―自ら困難に飛び込んだんですね。
松永:そうですね。そうしないと、自分は何も変わらないと思っています。そういう意味では、本のオファーをいただいたのはすごく良いタイミングだったなと。
ー木村さんは、このタイミングで松永さんの本を出した理由はなんですか?
木村:「働き方」をテーマに本を作りたかったんです。世の中では、仕事を辞める人が多いじゃないですか。せっかく新卒で入った会社でも、2ヶ月で辞めるってこともザラにあって。
そんな時に、自分の好きなことで食べていくことが、新しい生き方として存在している。ここが松永さんとうまくマッチしたんですよね。
松永:そこは、やっと時代に合ってきたと思います。僕がボードゲームに興味を持ち始めた時、世間ではボードゲームなんてまったく流行っていなかった時代です。今みたいにボードゲームカフェもなかったんですよ。
好きなことを紹介するようなYouTuberもいなかったですし。型にはまった働き方しかできなかった。そういう意味では、生き方を選べるいい時代になったのかなって。
ー本にも書いてありますが、好きなことを極めるとそこが「ブラックオーシャン」なんですよね。
木村:そうなんですよ。競争の少ない「ブルーオーシャン」。それより競争が少ない「ディープオーシャン」。そして、さらに競争のないところまでいくと「ブラックオーシャン」になるんですよ。
ライバルのいないところに一人ぽつんと立つ。そこには需要があって、戦略的に進められたら、無理に何者かにならなくてもいいんですよね。この本では、そこを文章化しました。4、5年前にボードゲームで食べていけるなんて誰も考えたことはなかったと思うんですよね。
松永:たしかに。いまだこの場所には、ほとんど誰もいませんね。
木村:一人、ですよね。西野亮廣の『新・魔法のコンパス』(角川文庫)という本で「100人に1人の事柄を2つ掛け合わせると1万人に1人の存在になって、さらにもう一回掛け合わせると100万人に1人の存在になる」と書いてあります。まさにその通りだなと思いました。
好きなことで生きていくためにまずは行動を
―この本はどんな方々に届けたいですか?
木村:コアに届けたい層は、将来に悩んでいる人や一歩踏み出せない人ですね。学生だったり、転職とかで悩んでいる社会人。やっぱり好きなことで食べていくことは、特別な人じゃないとできないと思っている人は多いと思うんですよ。だけど、一歩踏み出してみると案外できるんじゃないかなって。
世間では今後、AIやIoTといったものが発達して「現在の職業の9割がなくなってしまう」なんて言われたりしてますよね。そうなってくると、本当に好きなことだけをして生きていく世の中になっていくかもしれない。
だから、自分の好きなことを大事にしてほしいんです。好きなことで食べていけたらとても素敵なことだし、好きだから夢中になれると思う。あともう一つは、中学生から20代のお子さんがいる両親の方々にも読んでほしいですね。
ーお父さん、お母さんということですか?
木村:そうですね。親の世代に「うちの子はゲームばっかりして心配…」って思われる方もいらっしゃるはずです。だけど、心配しないでほしいなって。本にも書いていますけど、松永さんなんて1人で人生ゲームのマスを一個ずつ読んでいるぐらいボードゲームが好きだったんですよ(笑)。
松永:それは、さすがに将来を心配すると思いますよ(笑) 。
木村:でも、こうやって『7つの習慣』とコラボしたり、テレビからオファーが来たりして。いろんなボードゲームの制作に携わったりしてますよね。それで食べていけている。
だから、親世代の方々には、子供の好きなことを大切にしてあげてほしいんですよ。実は、中学受験よりも大切なことなんじゃないかとも思っているので、そういうのが伝わればいいと思っています。
松永:木村さんにそう言っていただけると、嬉しいですね(笑)。
―松永さんはどうですか?
松永:僕の場合は、生き方を伝えたいってこともあるんですが、一番はボードゲームを広めたいってことが根底にあります。ボードゲームって実際一緒にやっていただくのが一番いいのですが、時間も無限じゃないですし。なので、ボードゲームを知らない方々に本で届けられたらなと思って。
ー正直な話をすると、本以外の方法でも良かったのではないですか?
松永:ビジネス書を手に取る人って、娯楽やゲームを普段やらない方が多いと思うんですよね。ボードゲームは「遊び」なわけですから。そういう方にもボードゲームを届けられる、一つのきっかけとして可能性があるんじゃないかなって思っています。
それと、僕自身、好きなことで生きていくこときっかけをくれたのも本だったので、それを多くの人に届けたい。恩返しのようなものですかね。
-やはり読んだ人に、行動を起こしてほしいと思いますか?
木村:もちろんです、行動を促している本なので。自己啓発系の本ってたくさんあるんですよ。だけど、読んで何か行動する人ってほんの一握りだと思っていて、ほとんどの方は読んだだけで満足している。
読んで自分の可能性を確認したら、行動をしてほしいです。何でもいいんですよ。みの編に入ってみるでもいいですし、面白いことをやっている友人に会いに行ってみるでもいいです。セミナーなんかでもいいので、何か一歩でも動いてもらえたら嬉しいですね。
松永:僕もまったく同じですね。やっぱり本は素敵なきっかけなんですよ。インプットのツールではありますが、アウトプットすることを本は保証してくれませんよね。いかにそこで動けるかっていうのは大事ですよ。
一番分かりやすいのは、コミュニティに参加すること。みの編しかり、さまざまなオンラインサロンやコミュニティが存在しますからね。そこに繋がるようなきっかけを提供できればいいかなと思っています。
―まずは行動ですね。
木村:そうですね。
松永:すごい泥臭い言葉ですけど、そう思います。
松永直樹さんの初の著書『戦略と情熱で仕事をつくる』は、7月24日発売になります。
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取材:菅井泰樹、壁井裕貴
書き起こし:菅井泰樹、町田有衣子
編集:菅井泰樹
サムネイル撮影:松村拓実
本編撮影:皆銭文哉