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つくば市とみの編の共通点は「濃度」 #箕輪つくば

8月3日に開催されたつくば講演会の一部をお届けします。つくば市長・五十嵐立青さんと副市長の毛塚幹人さんも共に登壇されました。

行政の制度をハックする

箕輪:「エッジが効いてると言えばつくば」ってみんながそう思うような場所になってほしいですよね。それには、何回か炎上しないと駄目なんじゃないですか?

毛塚:どんな炎上ですか?

箕輪:炎上が目的ってわけじゃないけど。やっぱイメージって鮮烈なほど、多くの人からは「何やってんだ」って思われる。でも、分かってる人にとっては「あれはすげぇイノベーティブだった」みたいになる。

自動運転の実験も事故は起きない方がいいけど、本質を分かってる人は「まあ、そういうもんだよね。やっぱつくば市は攻めてるな」とか思うじゃないですか。テレビは「危険なことやってる」とか言うかもしれないけど、それくらいパンクに行ってほしいです。

毛塚:そういうことをやる時、結構行政って間違えられないんですね。でも、意外と行政ってアジャイルに進めることができると思ってるんです。

例えば、つくば市は共同研究としていろいろやっています。日本初のブロックチェーンとマイナンバーカードを使ったインターネット投票についてもそうです。研究だから失敗しても、それを考察すればちゃんと意義がある。

箕輪:あ、うまい。なんかやり方を変えちゃうのは賢い。

五十嵐:賢いでしょ。彼、元々財務省にいたんです。

箕輪:すげぇ!

毛塚:同じ制度でもハックできるんですよ。

箕輪:ハックって言葉好きですね。

毛塚:それを意識しながらやっています。

箕輪:なんか『踊る大捜査線』とかに出てくるキャラっぽいですね。

毛塚:全然分かんない(笑)。誰のことですか?

箕輪:足で捜査する人をバカにするテクノロジー側の人間(笑)。

毛塚:そういう意味では、つくば市は役割分担できてますね。

コミュニティの濃度がイノベーションに繋がる

五十嵐:多様な人が集まってるのはすごく大事なことで、私はつくば市をスタートアップ都市にしたいと思ってるんです。

起業家が集まってきて、新しいテクノロジーからビジネスをバンバン生み出しまくるみたいな感じ。それこそ落合陽一さんのように面白い人がどんどん集まる街にしたいんですよね。

それをなぜつくば市でできるのかと言うと、元々つくばっていうのは研究学園都市として50年前に作られたんです。

この間、シリコンバレーですごい活躍している投資家をつくばに招いていろいろ紹介して回って。そこで、まず彼が言ったのは「ここまで狭いエリアに、多様な知能、知的な人材が集まっている場所は、MITがあるボストンかイギリスのオックスフォードくらいしかない。こんなにイノベーションに適した場所はない」って。

箕輪:へー!

五十嵐:ソーシャルイノベーションの専門家で、文部科学大臣の補佐官をやってる鈴木寛さんも、つくばに来てくれた時に「イノベーションっていうのは何で起きるかっていうと、そこにいる人の数じゃないんだ。イノベーションっていうのは濃度だ」って言ってて。

箕輪編集室と同じだって思った。きっと社会的にはまともな仕事をしてるんだろうが、よく分かんない変人みたいな人たちが集まってるわけでしょ。その中でガチャガチャやってると、勝手にイノベーションが起きていく。(箕輪編集室は)そういう場所なのかなって印象を持ちました。

箕輪:本当にそう。僕は最初、同じようなやつを集めた方が、尖ったスピード感のある集団になるんじゃないかと思った。でも、いろんな人が入ってくることによって、ものすごい効率良くっていうかいろんなものが生まれるようになった。

これってキャンプに似てる。魚を釣るのが上手いやつがいて、料理をするのが上手いやつがいて、ただ酒飲んで笑わすようなやつがいる。そういう役割分担があると、何か本当に困ったことをポンと投げると「それできます」って人が絶対いるんですよ。

五十嵐:1000人もいるとね。

箕輪:そうなると、チャレンジしやすくなるんですよね。

余白の役割は必要

箕輪:僕は、どっちかって言ったら追い込まれないとクリエイティブみたいなものって生まれないと思ってた。それは真実なの。でも長い目で見ると、本当にお金がなさすぎると、単純に働かなきゃいけなくて生産的じゃないことに巻き込まれちゃう。

でも、意味ないとか価値ないと思ってることをやめて、本当に心の底からやりたいと思うことをやってほしい。そうなった方が面白くてポジティブなイノベーションも起こるような気がする。

五十嵐:本当にそう。市役所の公務員ってすごい真面目な人が多いんですよ。責任感もあって、自分が休んだらこの仕事は回らないみたいな。

箕輪:絶対回りますよ。

五十嵐:そうなんですよ。明日には誰か異動してくるから。そういう中で、自分が本当にやりたいことって何だろうって突き詰めて考えていける場を作ったのは素晴らしいと思う。

箕輪:例えば、サッカーチームもチームの得点8割くらいとっていた選手が移籍しても、そのチームはより強くなったりするじゃないですか。結局はそうやって回っていくから、謎の責任感や義務感でやるより、自分が楽しいからやる方がみんなハッピーになるような気がします。

五十嵐:サボったり、ぐずぐずしてるようなやつもコミュニティには必要ですよね。石炭なんかを掘っていた頃、トロッコに12人乗っていくんですけど、中には必ずバカなことばかり言ってるやつがいるわけですよ。冗談言って、仕事はほとんどしない。

それで、ある時その人を経営合理化だって辞めさせて何が起きたかっていうと、事故率や死亡率がめちゃくちゃ高くなった。やっぱり、そうやってバカ言ったり、余白を作ったりする存在が、その12人のコミュニティには必須だったわけです。

箕輪:それはすごい分かります。

五十嵐:ゴールへ一直線に進むような組織っていうのは、かっこいいようで実はめちゃくちゃ弱い。だから多様性には価値がある。「LGBTは生産性がない」なんて言ってる人もいたけど、そんなの論外中の論外。私は、多様な社会、多様性こそ価値だと思いますね。


*つくば講演会の他記事はこちら

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テキスト Makiko Sato 片岡美紀 壁井裕貴 谷さゆり 須藤悠輔 浦上由佳
編集 橘田佐樹
写真 壁井裕貴

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