一部公開! #箕輪書店だより 2月号 藤原和博/三木一馬/中川和彦/太田和美
2019年1月から配信を開始した書店員向けメールマガジン「箕輪書店だより」
ついに、2月号が明日28日22時に配信されます。
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さっそく今月号の目次をご紹介します。
1.今月のコラム 「一生、著者と添い遂げる」
2.本の売り方を考える 「書店で本を売るには可処分精神を奪え」
3.編集者インタビュー 三木一馬さん
「担当累計部数7000万部! 編集者・三木一馬が目指すコンテンツ中心の未来」
4.書店員インタビュー スタンダードブックストア心斎橋・中川和彦さん
「本の業界は異常。著者、編集者、お客さんが入り乱れることで、本屋はもっと面白くなる。」
5.新刊インタビュー 教育改革実践家・藤原和博さん
「読書する3割の人間が助かればいい」 AI時代の人間の質を決めるのは読書だ!
6.出版社営業インタビュー 幻冬舎営業局・太田和美さん
ベストセラーも書店との関係も「たった一人の熱狂」から始まる
7.あとがき
*太字のコーナーを一部抜粋して公開します。
2.本の売り方を考える 「書店で本を売るには可処分精神を奪え」
「本が売れない」「出版不況」と言われてる今、ベストセラーを連発する編集者・箕輪厚介がこれからの本の売り方について、日々考えていることを語ります。
「デバイスとしての本の便利さ」ってすごいんだよね。音楽(CD)と違って、本はデジタルよりアナログの方が扱いやすい。スマホアプリで本を読むよりも、紙で読む方が圧倒的に読みやすいよね。
紙であるデメリットは置き場所が必要なこととか、検索できないことぐらいじゃん。電子書籍が出てきたときは「すべての本がデジタルに置き換わるんじゃないか」みたいな危機感があったけど、それは間違いだったってことだよね。
紙の本はまだまだイケるってことがわかった。「紙の本は売れ続けるでしょ」って言うと「根性論だ、楽観論だ」とか言われて炎上しそうだけど、現実として紙の方が電子書籍より優位性があるんだし、それを批判されても意味わかんないよね。
ただいくら優位であっても鳥の目でコンテンツ業界を見下ろすと大きな問題が見えてくる。それは「世の中にはコンテンツがあふれまくってる」ってこと。ネットにはNetflixもあればAbemaTVもあって、当然テレビもLINEもSNSもあって…こんな世界でどれだけ他人の時間をコンテンツ、エンターテインメントに振り向けるかっていうのが企業やクリエイターの悩みの種になってる。
「可処分精神」という、メタップスの佐藤航陽さんとか前田裕二がよく使っている言葉があるんだけど、「いかに人の心を奪うか」っていうのがこれからのクリエイターにとって大事になってくる。この可処分精神を奪えていないと可処分時間は奪えない。
本屋さんが本気で本を売りたいんだったら、NewsPicks Bookみたいにレーベル化してしまって、そのレーベルにファンを作っちゃうのがいい。
紀伊國屋書店でも、青山ブックセンターでも、ジュンク堂書店でも、その本屋さんが好きで好きでたまらない、心を奪っている状態にしてからその店が薦める本を買ってもらうようにする。
3.編集者インタビュー 「担当累計部数7000万部! 編集者・三木一馬が目指すコンテンツ中心の未来」
担当した書籍の累計部数は7000万部以上。そんな途方もない実績を積み上げている編集者がいます。株式会社ストレートエッジ代表取締役社長の株式会社三木一馬さん。今や世界的にヒットしている『ソードアート・オンライン』を筆頭に、数々のヒット作を量産してきたライトノベル業界のカリスマです。そんな三木さんに、ヒット作を生み出すコツやこれからの編集者にとって大切な考え方についてお伺いしました。
<ヒット作は「9割の安心」と「1割の驚き」から生まれる>
-担当した書籍の累計部数が7000万部以上とは途方もない数字です。漫画を除いた書籍編集者のなかでは日本一の実績なんじゃないですか?
どうでしょうね。調べたことがないからよくわからないですけれども。でも、重要なのは数字じゃないですよ。手がけた作品の面白さです。
-どうしたらそんなにすごい実績を作れるのですか?
とにかく数を打つことだと思いますよ。僕は打率は低くて、実際にヒットしたのは三割くらいでしかないんです。身も蓋もない話に聞こえるかもしれませんが、人よりもたくさん本を出しているから売れているんです。
そしてもう一つ重要なことは、作品づくりで決して妥協しないこと。売れなかったとしても満足できるものをつくることを心がけるべきだと思います。「これくらいでいいか…」と妥協して、世に出した作品が売れなかったら絶対に後悔するじゃないですか。
だから細部までとことんこだわって、「ここまでやって失敗したらしょうがない」と思えるところまで徹底的に努力する。それは途方もない労力と時間かかるんですよ。要は「寝ないでつくれ」って話ですよね。
-作品を「面白く」するためのコツはありますか?
「9割の安心」と「1割の驚き」が大切だと思っています。「想像通りの良さ」と「想定外の良さ」、読者はその両方を求めているわがままな生き物なんです。
読者にとって、想定外の事柄が多すぎると、奇抜すぎて誰もついていけなくなる。一方で、すべてが予想通りだと、刺激がなく、つまらない作品になってしまう。だからこそ、作品における「安心」と「驚き」の配分には常に気を使っています。
5.新刊インタビュー 「読書する3割の人間が助かればいい」 AI時代の人間の質を決めるのは読書だ!
2月6日に発売された『僕たちは14歳までに何を学んだか 新時代の必須スキルの育み方』 。こちらの本は、堀江貴文、前田祐二、西野亮廣、亀山敬司の4名との対談をもとに構成されています。今回は本作の著者であり、教育改革実践家として著名な藤原和博さんに、来るべきAI時代の人間像と読書の重要性についてお伺いしました。
<日本に蔓延する「正解主義」。僕は彼らを助けたいとは思わない>
-藤原さんは著書の中で、情報を処理するだけでなく、自分の人生までもを編集していくような「自己編集力」を鍛えるべきだと仰っていますよね。「自己編集力」を持った人たちが増えた場合、日本はどのような姿になると考えていますか?
藤原:今と比べるともう少ししっとりとセクシーになってるんじゃないかな。でも僕はね、決して全員が変わるなんて思っていないんです。
-そうなんですか?
藤原:現状はとても嘆かわしい状況ですよ。例えば、今の人たちは一つの正解を求めたがっているじゃないですか。これを僕は「正解主義」と呼んでいます。典型的なのは、ググらない若い人。
「ググる」ってことは、複数の文章を読んで、自分の答えを探求しなければいけない。でもそれは面倒なんです。だから、すぐに答えを知りたがってYouTube等で検索して答えを見ちゃう。今は便利な世の中だから、その手軽さに一旦ハマっちゃうとなかなか抜けられないんじゃないかな。
僕はそういう人はそのままでもいいんじゃないのかなと思っています。僕はそういう人たちを「何とかしよう」とは思わない。あと、電車の中でスマホゲームしてる人もそう。若い子だけかと思いきや、今は40代・50代のサラリーマンもやってる。そういう人たちに対しても、助けようとは欠片も思わないですね(笑)。
-手厳しいご意見です。今の世の中に対して結構悲観的に捉えていらっしゃるのですね。
藤原:まあ、多くて3割ぐらいの人が変わればいいんじゃないかなと思ってます。人生を1冊の本であるかのごとく、自分の人生を編集してクリエイティブに生きていける人は、もしかしたら100人のうちの3人くらいしかいないかもしれない。その周りで、全体の3割ぐらいの人が、クリエイティブな彼らと一緒に動いていればいいんじゃないかな。
個人として目覚める人が3割ぐらいになれば、僕は御の字じゃないかなと思う。そして、その3割は本を読む側の人間なんじゃないかな。
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