報酬を上げる“3要素”をハックしろ【みのゼミ】第2回 須藤憲司さん(後編)
箕輪編集室の学生コミュニティ「みの校」では、特別講師をお招きした「みの校ゼミナール」が定期的に開催されています。
4月13日は、先月出版された『ハック思考』(NewsPicks Book)の著者・須藤憲司(スドケン)さんにより、「ハック思考による自分の報酬の上げ方」をテーマとした特別授業が行われました!
現在、500人を超える学生が在籍しているみの校。この記事を読んでいる方々にも、入学を検討している人がいるかもしれません。
しかし、みの校に入学できるのは4月と9月、チャンスは年に2回です。
そこで、「みの校だからこそ実現できる革新的なオンライン授業のリアルな内容をお伝えし、迷っている学生の背中をそっと押したい」との想いで本稿を執筆し、スドケンさんのご好意の元、特別公開することができました。
今回は後編をお届けします!
▼前編はこちら
(以下、スドケンさんの講義の一部を編集してまとめています)
報酬を上げる=自分の値段を上げる
これからますます「個」の時代へと移り変わっていきます。
結論から言ってしまうと、個の時代においては、うまく個を残しつつ信用を得ることが最も重要になってきます。
しかし、ひとことに「信用を得る」と言っても、どのように信用を勝ち取るのか。なかなかイメージが湧きませんよね?
ここでは、どのように信用を勝ち取り、自分の価値や商品を値上げしていくのかについて、僕自身の経験も踏まえてお伝えしていきます。
どうやって値上げしていくのか
では、まず値上げをするためには何を考えればいいのか。価格決定のファクター(要素)を見ていきましょう。
市場経済を考えるときに、よく「価格は、需要と供給のバランスで決まる」と言われますが、少しわかりにくいので、分解して5W1H(When / Where / Who / What / Why / How)で考えてみましょう。
5W1Hを考えるときに、多くの人が陥りやすいのがWhen、Where、What、Howの4つばかりを考えてしまうパターンです。
しかし報酬をあげるために最も大切なのは「Who」と「Why」なんです。
●Who:あなたは何者なのか
ものを購入するときに「何を買うか」は当然のように考えますよね。でも実は、それと同じくらい人は「誰から買うか」を考えています。
たとえば箕輪編集室を例にとっても、「箕輪さんがやっているから」という理由で入った人は多いのではないでしょうか。つまり、「売り手/作り手が何者であるか」は、買い手にとって非常に重要な要素になってくるのです。
●Why:何のためか
そして「Why」。人々は何かしらの目的や理由をもって、買うものを取捨選択していますよね。
つまり「あなたは何者なのか」と「なぜ、何のためにそれを買っているのか」の2点をしっかり考えることで、みなさんの報酬は確実にアップするんです。
そもそもあなたは何者なのか
では、まず1つ目の「そもそもあなたは何者なのか」について考えてみましょう。
「出世とは自己紹介がいらなくなることである」
これは、戦前に貿易庁長官をされていた白洲次郎(しらす・じろう)さんの言葉だったはずですが、出世の定義として今でも正しいなと思っています。
要するに、世に出ることで他者が自分のことを知っているため、自己紹介をする必要がなくなるのです。
たとえば現代なら、人気Youtuberとかインフルエンサーも出世していると言えますね。
広く知られるようになると自己紹介をする必要がなくなる。これは現代にも共通する定義ですよね。
「評価→信用→キャラ」で考える現代の出世
先ほどのもそうですが、具体的に現代の出世についてキングコングの西野くんがすごく面白いことを言っていました。
それは、現代は評価、信用、キャラが大事だということです。
まず1つ目に「評価」ですが、たとえば「フォロワー数が多い人」はある程度「評価されている」と言えるでしょう。
2つ目に「信用」です。ここは例を出して考えてみましょう。
例えば、Instagramのフォロワーが10万人いる有名なタレントさんが2人いて、それぞれ次のような状況にあるとします。
●タレントAさん → “コスメに詳しいので” 商品を宣伝 → めちゃくちゃ売れている
●タレントBさん → “タイアップとして” 商品を宣伝 → まったく売れていない
この差は何か。他でもなく、まさしく「信用」の差なんです。
すごくコスメに詳しいタレントAさんが「このリップはめちゃくちゃ良かったよ」と紹介するのと、タイアップでとりあえず紹介しているだけみたいなスタンスのタレントBさんとの間には、信用値に大きな差があるわけです。
そして3つ目の「キャラ」も大事になってきます。
箕輪さんが「明日からレバノンに行きます」と唐突に言い出しても誰も止めはしません。なぜなら、“そういうキャラだから” です。
もちろん成果や実績もありますが、「キャラクター」があるからできることでもあるんです。
①評価を得る
②信用を貯める
③キャラクターを作る
これは、要素だけじゃなく順番も本当に大事です。いきなりキャラだけで突っ走るとうまくいきません。
単純にまず評価を得る。評価を得てから、信用を勝ち取る。信用を勝ち取ったら、キャラクターがすごく生きてくる。
今はそういう世界なんじゃないかと思います。
スドケンさん直伝「報酬を上げる3要素を立たせる方法」
では、実際に自分がこの3つの要素を持つためにはどうすればいいのか。
それぞれを分解して一緒に考えていきましょう。
一番身近な集団で評価されろ
まず最初に「評価」を高めるためには、慣れないことを無理にやろうとしたり、いきなり難しいことをやったりする必要はありません。
とりあえず一番身近な集団で評価されることを目指す。これが大事です。
みんなが学生さんなら、クラスメイトやサークル、友達とかでもいいでしょう。べつに人気者になれというわけではなく、まずは「あの人、なんかいいよね」と言われたり思われたりするようになることを目指したらいい。
「レスが早い」とか「時間を守る」とかでもOKです。そうやって身近で小さな世界で評価をあげることが、まず最初は本当に大切なんです。
誰もやっていないことを見つけろ
あと、僕の場合は、ホワイトスペースを狙っていました。つまり、誰もやっていないことを見つけるんです。
基本的にマーケティングの仕事というのは、プロダクト、プロモーション、プライス、プレイスという4Pがあって、その中でもプロモーションとプロダクトはめちゃくちゃ人気なんです。また、「雑誌を作ってみたい!」という人はすごくいるのに「価格設計を考えたいです! 」という人は少ない。
僕の部署にはすでに、プロモーションやプロダクトにめちゃくちゃ強い人がいて、その中で戦うのはキツイと感じたので「誰もやっていないことやろう」と決め、「価格戦略」を勉強しました。とりあえず価格に関する本を10冊くらい買ってきてか全部読んだんですね。
そうして「誰もやっていないこと」を徹底的にやってみてわかったことがあります。
それは、その領域の本を10冊くらい読めば、大体、専門家になれるということです。
さらに面白いと思ったことがありました。僕がリクルートにいた当時は社員が3000〜4000人くらいいたのですが、見渡してみれば価格のことを専門的にやっているのは僕だけだったんです。
つまり、気がついたら小さな集団の中での“専門家”になっていたわけです。それからというもの、価格設定について相談されることが一気に増えました。
よく「自分のハッシュタグを見つけよう」と言われますが、それってだいぶ大変ですよね。
だからまず最初に評価を得るためには、
✔︎ 一番身近な集団で評価を得る
✔︎ 専門家になる
この2つをおすすめします。
頑張らずに結果を出し続けろ
2つ目が「信用」の話です。
端的に言うと、結果を出し続ける以外に信用され続ける方法はないんです。
でも、結果を出し続けるのはとても大変ですよね。実のことを言ってしまうと“頑張って”結果を出している人は、結果を出し続けられないんですよね。
だから本当に結果を出し続けようと思ったら、頑張らなくても結果が出る方法を考えるしかないんです。
僕が頑張らないで結果を出し続けるために、実際にやっていたことは次の2つです。
1)10%ずつチャレンジする
2)その中でうまくいったパターンをする横展開する(他のプロジェクトにも応用する)
当時、僕は30個くらいの雑誌のマーケティングを担当していたのですが、ぶっちゃけ言うと僕の中では、結局はどの雑誌にどれだけ力を入れても1/30なんだからと思って、「〇〇すれば売り上げが伸びるかもしれない」みたいな仮説をそれぞれで数%ずつ試すみたいな感覚でやっていました。
その中でうまくいったパターンを他のプロジェクトでも試してみると、大体うまくいくんです。
これが頑張らなくても結果が出る法則です。
可愛がられるバカになれ
3点目に「キャラ」を作る方法。これは可愛がられるバカを目指すことです。
みなさんの周りにも、実力がないのに、やたら先輩に可愛がられている人がいませんか?
令和の時代に、すごく昭和の話をしていると思われるかもしれませんが、もちろん見た目の可愛さではなく(笑)、キャラとしての “可愛げ” は本当に大切なんです。
僕が新入社員の時に「もっと可愛がられるバカになった方がいいよ」と役員の方に言われたことがありました。これは今思うとすごくありがたいアドバイスだったんですよね。
やっぱり、ほとんどの人が「しょうがねえなぁ!」なんて言いながら、可愛げのある人と仕事したいんです。そういうものなんです。
しかも、実際に自分がそんなキャラになった方が楽しいし、プラスなことが多い。実は、今回のテーマである「報酬を上げる」ためには、可愛がられるバカなキャラがめちゃくちゃ効果を発揮します。
よく昭和のおっさんたちが「報連相(報告・連絡・相談)が大事だ!」とか「上司に報連相しろ!」とか言いますよね。
でも僕は他社の人や仕事先に「報連相」しちゃうんです。
そうすると、なぜかみんな可愛がってくれる。「ちょっとお願いしますよ〜(笑)」なんて言いながら、値上げとか、いろいろ頼みやすくなる関係性になるんですよ。
そう、可愛げは作れる!
「可愛がられるバカ」のキャラがあれば、みなさんの価格が急激に上がりやすくなります。
まだ何者でもないなら「圧倒的に使える人間」になれ
今となっては本を出版したりしている僕ですが、そんな僕にも「何者でもない」ときがありました。
新卒でリクルートに入社したので18年前の話ですが、当時、僕が配属された部署は10年目以上の先輩や、第一線で活躍していた人ばかりで「ものすごくキツイ部署に来ちゃったな」と思っていました。
そんなときに、僕が先輩の前で話した挨拶がこれです。
「この組織で一番仕事ができないのは僕です。この組織の成長は、僕にかかっています。なぜかというと、僕が戦力になったらこの組織の総合力は絶対に上がるからです。だから僕はこの1年間必死に努力して、ここにいる先輩のみなさんを追い抜きます。なのでみなさんも助けてください」
いきなりその部署で評価を勝ち取るのはなかなか大変です。だから最初の自己紹介で「なんか、あいつちょっと面白いかもな」と思ってもらう挨拶をしました。そこから、圧倒的に使える人間になることを目指したんです。
たとえば、当時は雑誌のマーケティングを担当していたのでコンビニのチェーンの店舗数や、書店の都道府県別の店舗数を全部丸暗記して、聞かれたら秒で答えていましたね。
「おーいスドケン! 神奈川のローソンって何店舗だっけ?」
「〇〇〇店舗でーす!」
こんな感じで、“リアル Hey Siri ” をやっていたんです(笑)。
そうすると「とりあえずスドケンに聞けば答えが返ってくる」「スドケンは圧倒的に使える人間だ」そんなふうに評価され、だんだんとキャラもついてきました。
一方で、評価され始めると嫌がらせも始まりました。新入社員なのに、僕の方がお給料をもらっていたのが嫌だったんでしょう。
でも、僕の報酬が上がったのは、当時周りの3倍の仕事量をこなして、しかもその中で結果を出していたからなんです。量としては、それまでの新入社員が誰もこなしたことのないほどの量だと言われていました。
まさに、コツコツと評価→信用→キャラを築いたわけです。
でも、何も知らない人には嫌われていることがあります。
みなさんもどこかのタイミングで、評価され始めると嫌がらせをされるタイミングが来るかもしれません。でも、粛々とやっていると周りは認めざるを得なくなるので大丈夫です。
最初のうちは「アンチはむしろウェルカム」と考えておくと、すごく良いんじゃないかと思います。
難しいことをする必要はない
「ハック思考による自分の報酬の上げ方」いかがだったでしょうか。
冒頭に、今日のゴールは「自分の報酬の上げ方」を考え、自分で戦略を立ててみることだと言いましたが、みなさんどうでしょう。自分の報酬の上げるための戦略は立てられそうですか?
べつに難しいことをする必要はないのです。
本当に大切なのは、家族やサークルなどの小さな世界、それこそ自分にとって一番身近な集団における評価をしっかり高めること。
「レスを早くする」
「時間を守る」
「圧倒的に使える人間になる」
一見小さなことに思えるかもしれませんが、そういうスタートでいいのです。
この戦略のもと、今日お伝えしたハック思考を順番通りにコツコツと行うことでみなさんの報酬は確実にアップします。
少しでもみなさんのお役に立つことができていれば嬉しいです。
* * *
最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございます!
みの校の講義がどれだけ自分の身になるか、そして一緒になって走ってくださる講師陣の雰囲気が少しでもみなさんに伝わっていれば嬉しいです。
そしてこのたび、箕輪さんや箕輪編集室の運営の方々、そしてみの校の先頭に立って陰ながらこの機会の準備に励んでいたリーダーのこうじさん、サブリーダーのわかぽん、ファシリテーターのメグパン。そして何より、学生のためを想い、学びの多い講義を展開してくださった特別講師のスドケンさん本当にありがとうございます。
記事の構成上、講義の一部はカットしていますので、全編が気になる方はぜひ、みの校のアーカイブから動画をご覧ください。社会人枠で入会している方も、もちろん視聴可能です!
スドケンさんの著書『ハック思考』が気になる方はぜひこちらを!
読書でおうち時間を充実させてみませんか。
▼『ハック思考〜最短最速で世界が変わる方法論〜』 (NewsPicks Book)
▼世界をHackするための2ステップ #ハック思考
▼3分でわかる『ハック思考』
箕輪編集室の入会はこちら箕輪編集室の学生コニュニティは4月、9月しか入学できません!
少しでも興味のある方は、ぜひ飛び込んでみてください。
こっちの世界に来て、革命を起こそう!
編集:未来、金藤 良秀、帆足和美
書き起こし:かえで、はなみん、岩井李人、タッチー、外山洋平、佐々木壱、古山雄貴、
細谷夢子、井ノ口雅幸、松本浩司、未来
バナー作成:ニトロ
校閲:ながもん