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書くのがしんどい そんなあなたが書けちゃう話

箕輪編集室8月定例会 竹村俊助×箕輪厚介

2020年8月7日(金)、株式会社WORDS代表取締役の竹村俊助さんをゲストに招き、定例会が開催されました。

竹村さんは、『メモの魔力』(前田裕二著、幻冬舎)、『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平著、ダイヤモンド社)などのブックライティング・編集をされ、数々のベストセラー作品を手がけてこられました。この夏には、初の著書となる『書くのがしんどい』を上梓。書くことに苦手意識を持っている人たちが、「絶対に伝わる文章」を書けるようになる全技法が収められています。

定例会では「書くのがしんどい そんなあなたが書けちゃう話」と題して、箕輪編集室向けにZoomで語っていただきました。

<Profile>
竹村俊助(たけむらしゅんすけ)
1980年、岐阜県生まれ。編集者、株式会社WORDS代表取締役。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本実業出版社に入社。同社で書店営業とPRを経験した後、中経出版で編集者としてキャリアをスタート。その後、星海社、ダイヤモンド社を経て、2019年株式会社WORDS代表取締役に就任。オンラインメディア「note」に投稿されている『WORDSの文章教室』のPV数は累計150万以上。主な編集・ライティング担当作は、『メモの魔力』(前田裕二著、幻冬舎)、『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平著、ダイヤモンド社)など。

「おもしろさ」の鮮度を保つライティング


箕輪:竹村さんの著書、読ませてもらいました。「読みやすい文章が書けるようになる」って謳ってたので、これで内容が読みづらかったら竹村さん自身の首を締めることになると思ってたんですけど(笑)、ほんと読みやすかったです。これからライティング始めるって人はぜひ手に取ってほしい。

竹村:ありがとうございます。文章がうまく書けなくて悩んでる人やライティング初心者の方が結構読んでくださっているみたいで、ありがたいです。

箕輪:竹村さんはライティングに関するノウハウをわかりやすく言語化されてるじゃないですか。いつからそういった本質をつかめるようになったんですか?

竹村:編集者としてブックライター(著者に代わって本を執筆する人)から届いた原稿をリライトする機会が多いので、その中で自然とライティングの核みたいなものが自分の中で創られていったように思います。

箕輪:なるほど。僕個人的には、文章にはその人なりの味や癖があってもいいんじゃないかなと思ってるんです。なんなら著者が書きなぐった生々しさが好きなので、誤字や脱字すらも残したいくらいですもん。

竹村:それ、分かります。著者がせっかくおもしろいことを言ってるのにライターが文章を整えすぎちゃったせいで、おもしろさや魅力が半減しちゃったら意味がない。でも、現実には著者の思いや熱量が読者に届いてない本って結構あると思うんです。

箕輪:まさに。たとえ文章がうまくなくてもやっぱり本人が書いたものは強い。その人のコアな世界観だったり、人間臭さだったり、これってライターには出せない部分ですしね。

竹村:僕もいろいろ文章の技術的なことを言ってますけど、その辺は枝葉の部分で、核になるのは「この話おもしろい!」って自分の心が動くかどうかだと思うんです。よくあるのが、著者の方は「たいした話じゃないんですけど」って語り始めた内容がめちゃくちゃおもしろかったりするんですよね。そういったおもしろさの鮮度を保ったまま、分かりやすく伝えるのが僕の仕事なんですよね。


「読まれないけど良い文章」は良い文章ではない


箕輪:文章の応用編みたいな話になっちゃいましたけど、ライティングに挑戦する人たちが技術を高めるためには何をすればいいと思いますか?

竹村:当たり前のことになりますが、PDCAを繰り返すしかないと思いますし、他者の評価と向き合うことが大切かなと。「読まれなかったけど良い文章書いた」っていう自己満足では、「良い文章」の定義がいつまでも一人よがりじゃないですか。いろんな視点からの評価を受け止めながら、自分なりの「良い文章」を探索していくのがいいと思います。

箕輪:〝読まれない良い文章〟って謎すぎますね。「読まれる」という点で見れば、Twitterなんかはちょっとした訓練になる。最近、別アカウントを作ってTwitterやってるんです。今までのオフィシャルのアカウントなら、わりとそれっぽいこと言ってればバズってたのに、今は全然反応が薄いんですよ。ちゃんと狙いをつけてツイートしないとバズらないから、生身で勝負してる感じで楽しいです。

竹村:何がウケて、何がハマらないのか。そうやって試行錯誤する中で「伝わる文章」が少しずつ上達していくんだと思います。

箕輪:でも一方で、バズるっていう他者評価も大事なんだけど、バズるための「正解」を追い求めて書くだけの文章って、つまらなさを感じるんですよね。僕の中で強烈に煮えたぎっているメッセージみたいなものがあって、それを吐き出したくなる時があるんです。でも、そのまま伝えちゃうと誰にも理解されないから、そこはちゃんと世間に届くように書く。熱狂と冷静の間を渡り歩くというか。

竹村:そこが箕輪さんと僕の違いですよね。僕はゼロベースから文章を生み出す「0→1」の著者タイプじゃなくて、ブックライターや編集者タイプが合ってて、おもしろい人を見つけると「この人のことを本にしたい!」ってなるんですよね。こういったライティングのタイプみたいなものも、経験を積み重ねる中で見えてきますよね。


純粋に自分の心が楽しめているかどうか


箕輪:ライターに向いている人の特徴ってありますか?

竹村:色々あるとは思うんですけど、人に興味を持てるかどうかは大事だと思います。インタビュー記事って書き手の心情が透けて見えて、本人がおもしろいと思えてなかったり、興味がなかったりするものって、温度がないというか味気ないんですよね。

箕輪:それ、ほんとわかります。あとは、物事を表面的にしか見ていない人もいますよね。そういう人と組んでインタビュー記事作ると、「えっ!あそこ書かないんだ?」みたいなことがある。おもしろがりポイントは人それぞれあっていいと思うんですけど、誰もが分かり切っていることを書いちゃうみたいな。そういう自分なりの着眼点が無い人は、味わい深い出汁が染み出るような文章は書けない。

竹村:分かります。インタビューの時、雑談なのでテープ止めてたけど、あの時に出た話題はおもしろかったから入れようみたいなことですよね。エレベーターホールで去り際に言った言葉が突き刺さることもありますもんね。

箕輪:心で仕事してない人は、派遣会社の下請けライターみたいになってしまう。自分が心底おもしろがらないと。以前、政治家で元総合格闘家の須藤元気さんとビールを飲みながら対談したことがあって、かなり盛り上がったんです。でも翌朝起きたら、音源データの録り忘れに気づいて青ざめました。冷や汗が滝のように流れたんですけど、その瞬間、頭が覚醒して30分くらいで書き上げることができたんです。

竹村:すごい(笑)。純粋に自分の心が楽しんでいるからこそ、要点を思い出せたんでしょうね。そうやって興味を持てる取材だといいんですけど、請け負う仕事だとなかなかそうはいかないんですよね。そういう時は、少しでも自分の興味が動くポイントがないかギリギリまで下調べをして、取材に臨んでましたね。

箕輪:えらすぎる。でも確かにライター一本で食べていこうと思ったら、それぐらい必死にやらないと生きていけないですよね。でも、永遠に書き続けていれば、自ずと文章もうまくもなるし、書くスピードも上がる。量が質を生んでくれるんですよね。

竹村:まさに。書けるようになるためには、いっぱいコケるしかないですね。とにかく書いて書いて、いっぱいコケて、また書いて。すぐに収入には反映されないかもしれないけど、続けていけば必ず上達します。今まで「ライター」と名乗ることに躊躇していた人も、この本を読んで挑戦してみようと思えるようになるとうれしいですね。


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いっぱいコケても書くのをやめないことが大事という竹村さんの話を聞き、コケることを恐れず積極的に文章を書いていこうと背中を押してもらえた対談でした。『書くのがしんどい』に凝縮されているノウハウを活用して、どんどんライティングに挑戦していきたいと思いました。

実際の定例会は、この何倍もの量と密度の濃い話が繰り広げられていました。気になった方はぜひ箕輪編集室へ。箕輪編集室では、過去のイベントや定例会の動画をアーカイブ化しておりますので、気になったときにいつでも見ることができます。

書き起こし:中本宏樹菅原啓太斉藤俊起清水えまい氷上太郎
編集:黒羽大河
バナー:前田菜々子

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