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「一緒に笑って、一緒に泣いて」  「みの邸」で過ごした1年は一人の若者を変えた

渡邉さんの活躍の舞台は関西から関東へ。
関東へ転勤となった渡邉大典さんは、運命に導かれるように箕輪編集室メンバー専用のシェアハウス「みの邸」に入居します。

「みの邸」での新たな生活、仲間たちとの出会い、そして苦悩と葛藤。
新天地で見つけた居場所で地道に問題を解決していくなか、彼は変わっていきました。

人目を気にする性格は、俯瞰的な視野に。
緊張しやすさは、慎重さと責任感に。
思ったことが態度に出やすい悪癖は、率直さと素直さに。
周囲に流されやすい性格は、類まれなる協調性と抜群のフォロワーシップへと転嫁しました。

「みの邸」で過ごした日々は確実に彼を変えたのです。

渡邉大典さんのメンバー図鑑の第二回は、「みの邸」での生活で気づいたこと、そしてこれからの活動ことについて聞きました。

不思議な縁に導かれて「みの邸」第一号入居者に

ー渡邉さんと「みの邸」との関係は、関西時代からですよね。

渡邉さん:関西の「みの邸」を立ち上げる企画に参加していた時、あるメンバーの実家の古民家を「みの邸」にする話が持ち上がったんです。結局、その計画は頓挫してしまい、メンバーのモチベーションは下がってしまいました。

しかし、どうしてなのかはわからないのですが、その時「『みの邸』は、僕がつくらなければいけない」と感じたんです。そんな“謎の責任感”から、一人で不動産業界の知り合いを捕まえて、物件を視察したりしていました。そんな活動に奔走していたところ、会社の人事異動で僕は関東へと転勤になったんです。

本当に偶然なのですが、転勤が決まったタイミングで「みの邸」谷在家(東京都足立区)の募集が始まり、僕はそこに住人第一号として入居することになりました。

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(まさに「みの邸」へ導かれし者だ・・・)


ー初めてのシェアハウスでの共同生活だったと思います。「みの邸」に入居することへの迷いはなかったのでしょうか?

渡邉さん:関東に転勤が決まった時に「みの邸」に入ることは決めていました。入居したら自分の人生が変わるかもしれない、そんな予感がしたんです。フリーランス的な生き方に憧れていたので、入ったらそんな生き方ができるんじゃないかと考えていました。

ー割と早いタイミングでリーダーに就任しましたよね。

渡邉さん:「みの邸」を盛り上げなくちゃいけないということで、入居してすぐにさまざまなイベントを企画しました。たこ焼きパーティやクリスマスパーティ、映画鑑賞会、勉強会。さらには入居者の勧誘や経費管理といった細かい事務作業など、地道な活動を続けていたところ、運営の柴山由香さんから「リーダーをやってみない?」とお声がけをいただきました。2018年末のことです。

ー「みの邸」での生活はどうでしたか?

渡邉さん:楽しかったですよ。当時は東京に来て間もなく、友達もいない状態でした。傷病関係での異動でしたので、新しい部署で居心地がいいわけもなく(笑)。そんな時期だったので、みの邸に帰ってきたら話し相手がいることはありがたかったです。

仲間たちと「みの邸」の今後について話したり、会社の悩みを打ち明けあったりした時間は、僕にとって心の拠り所でした。自分の考えを整理する時間にもなりましたし、みんなで「みの邸」をつくり上げていくという感覚も楽しかった。

最初は谷在家だけだった「みの邸」も、2棟目が糀谷にできたり、学生専用の「みの邸」をつくろうとしたりと、そういったことを“企む”ことも好きでした。「僕はシェアハウスの人になるんだ」という熱狂がありました。

もちろん、楽しいことばかりではありません。いろいろな人が共同生活を送るわけですから、それなりの苦労もあります。お互いの個性と個性がぶつかりあった時などは、どうしたらいいのかわからなくなることもしばしばでした。

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(しんどいこともあったんすよ・・・みんな個性強めだから・・)

「別にいいんじゃない?」箕輪厚介の一言でブレイクスルー

ー「みの邸」の運営が好循環に入ったきっかけは何だったのでしょうか?

渡邉さん:「みの邸」ができてしばらくたった後、箕輪さんが来訪する機会がありました。その時に言われたことで、忘れられない言葉があります。

当時の僕は「みの邸」での生活が楽しくて、遊んでしまっていることに罪悪感を覚えていました。「このままでは『何者』にもなれない」「『みの邸』はもっとクリエイティブな空間にしないといけない」「そのためにはもっと努力をしなくちゃいけない」ーーそんな焦燥感と戦っていました。

「みの邸」に来た箕輪さんにそんな悩みを素直に打ち明けました。「『みの邸』にいると楽しすぎて遊んでしまうんです。このままでは『何者』にもなれないんじゃいかと不安です」と。

ーその時の箕輪さんの答えは?

渡邉さん「いいんだよ。別に『何者か』なんかにならなくて。ていうか『何者か』なんかになりたいわけ?」と言われました(笑)。よくよく考えたら僕は「何者か」になりたいなんて、今まで生きてきて一度も考えたことはなかったんです。「別に『何者』にもならなくていい」ーーそんな言葉を箕輪さんから投げかけられて、肩の力が抜けました。

箕輪さんに相談するまで、僕は「みの邸」をクリエイティブなシェアハウスにしなければならないと思っていたんです。結果として、空回りしていた部分もあったように思います。あの時の箕輪さんの一言で、地に足をつけて「みの邸」の運営ができる心持ちになったんです。

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(あの話聞いた後、マジでらくになったなぁ・・・)

ーなるほど。ありのままの自分を受け入れるということですか。

渡邉さん:最近とあるインフルエンサーに人生の相談をする機会がありました。そのインフルエンサーの方から「君はあと3時間で死ぬという時に何をする?」と聞かれ、僕は素直に「何もしたいことがありません」と答えました。

それについてはダメ出しも頂きましたし、そんな答えしか出てこない自分が多少情けなくもあり、気恥ずかしくもありました。でも、それが等身大の僕なんです。

自分で課題だと思っている部分はきちんと克服しなければなりませんが、まずはあるがままの自分を受け入れる。その上で前に進まなければ、何かをする時に独りよがりになってしまったり、心身に余計なストレスをかけてしまったりと、かえって良くない結果につながってしまうのではないでしょうか。

“ミスターみの邸”が「みの邸」を去る。これから入居する君たちへ

ーそんな、渡邉さんですが、昨年の10月に約1年住んでいた「みの邸」を退去されました。その時の心境を教えて下さい。

渡邉さん:寂しかったですよ。本当に密度の濃い1年間を過ごすことができました。退去する前日、1年間の出来事が走馬灯のようにめぐり、思わず涙がこぼれました。引っ越すという行為に対してこれほど感傷的になることは、おそらくもう2度とないと思います。それだけでも箕輪さんや「みの邸」で過ごした仲間たちにはいくら感謝してもしきれない気持ちです。


ーそんな気持ちがあったのにも関わらず、「みの邸」を退去したのはなぜですか。

渡邉さん:どんなに楽しいこともいずれ終わりが来ます。入居から1年が経ち、ちょうど節目だと思いました。僕がいなくなることによって「みの邸」から新しい芽が出てくる気配も感じています。

「みの邸」のことは今でも心配です。でも、僕や飯室さんが退去したら、それまで清掃にまったく興味を示さなかったメンバーが掃除をするようになるんですよ(笑)。そんな具合で、世の中は誰かがいなくなれば、その役割を誰かが引き継ぐようにできているのだと思います。

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(そーやって世の中回っていくんですよ。きっと)

ー今後、「みの邸」に入居を考えている人に一言お願いします。

渡邉さん:「みの邸」というブランドを使って箕輪編集室で認知されるもよし。一緒に過ごす住人と楽しく青春するもよし。「みの邸」をさらに発展させて、シェアハウスとしての価値を上げるもよし。クリエイティブを伸ばすもよし。「みの邸」は入居者次第でどうにでもなる場所です。

でも、逆に言えば、何か行動を起こさなければ普通のシェアハウスと大差はありません。「みの邸」を生かすも殺すも入居者次第。これから入居する方々には「みの邸」ならでは、という価値を自分なりに見つけてほしいと思っています。

ーこれから渡邉さんが力を入れていきたいことについて教えて下さい。

渡邉さん:本業である会社の仕事に力を入れたいと考えています。「みの邸」で過ごした期間は、本当に充実した毎日でした。課題を一つひとつクリアしていく過程で自信をつけて、会社でもいろいろ仕事を任せられるようになりました。

その結果、自分のなかで本業に集中して結果を出したい気持ちが強くなっていったんです。それは「少し頑張ったね」という程度のものではなく「圧倒的な評価を得る」といった類のものです。

もちろん、完全に「みの邸」を離れるわけではありません。僕を育ててくれた場所ですし、これからも発展していってほしいと思っています。今でも空室があるとソワソワするんですよ(笑)。力になれることは何だってしたいんです。これからも「みの邸」のサブリーダーとして影に日向にサポートしていきたいと思っています。

ー退去した後も、そこまで「みの邸」を気にかけるのはなぜなのでしょうか?

渡邉さん“謎の責任感”ですね(笑)。うまく言葉にできません。僕にもよくわからないんです。誰か教えてくれませんか(笑)。

ー多分、それは“愛”なんじゃないですかね。

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聞き手/柳田一記大西志帆野崎未来
編集/柳田一記
写真/うめの瑳刀
バナーデザイン/惣島厚

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