「タカオミ動画編集室」は、どのような動画を生み出していくのか
箕輪編集室メンバー紹介企画! 今回は、メディアチームのチーフクリエイティブディレクターを務める吉田貴臣さんへのインタビューです。
*前回の記事はこちら
「まだ早い」と言うのは自分だけだった
ー以前、Twitterで「タカオミさんの動画サロン需要ありそう」という声に、「自分がやるのはまだ早い」というような返信をしていましたが。
吉田:今も早いかなって思ってます。入りたいって言ってる人もいたから、需要があるのは分かってたんです。でも、今メディアチームで動画を作ってるのは、僕やはるかさん、駒月くんなどいつも決まった人で、もっと増やせるはずだと思っていたんです。僕自身も、もっとメディアチームにコミットできると。
それに、箕輪さんは幻冬舎で『多動力』とかを出版してる。前田デザイン室の前田さんは元任天堂で、「図解・インフォグラフィック」サロンの櫻田さんはNewsPicksで働いている。サロンをやっている人は、みんなちゃんとバックボーンがあって、ブランド人なんですよ。
でも、僕は何もないなと思っていて。世界的なブランドの動画を作ってきたわけじゃない。それに、映像プロダクションの正社員だったこともない。みの編で動画を作っていただけで、マジで超無名じゃんって。今はNewsPicksや博報堂さんとの案件があるから、それをやり遂げたらサロンはできるかもって思ってた。
動画は盛り上がってるけど、僕自身の力じゃなくて、箕輪さんが「すげえ」って言ってくれるから広がってるだけ。僕は、ブランド人でも何でもないし、動画をちょっと作れるだけの人だと思ってる。この間、前田(高志)さんとイベントが終わった後にその話をしたんですよ。
「やっぱりバックボーンがあると強いですよね。サロンとか開いた時に信頼があるじゃないですか? だから、僕はサロンとかまだ早いと思ってるんです」って言ったら、その場にいた小野さんや柴山さんからもう集中砲火ですよ。「タカオミやればいいじゃん!」みたいな(笑)。
しかも結構日本酒とか飲んでてみんな酔ってたから、ちゃんと経緯を覚えてないんですよね。それで、「サロンやろうかな」ってツイートしたら結構反響があって。まあ、やるかみたいな感じで決めました(笑)。やってみて失敗してもそれはそれでいいと思ってたんで。
少人数で文化を醸成していく
吉田:みの編は安心・安全とうたってるじゃないですか。だから、動画を作りたいけど、そんな1日何時間も動画には費やせないっていう人たちが楽しくいることができる。そこで、僕が「動画作れよ。クオリティ低いんだよ」なんて言えないじゃないですか。言えないというか言いたくもない。それはみの編的でないって僕は思ってるんで。
でも、僕が自分のサロンを作ったら何でも言えるなと思ってて。第1期で入ってくれたメンバー全員にはさっそく「この1週間で動画を1本作れ」って言ってるんですよ。
ースパルタなんですね。
吉田:バキバキですね。メディアチームにも、ガチの人はいるだろうからそういう人向けにもやりたいけど、タカオミ動画編集室に関してはガチでやってきます。みの編はコミットしなくていいよっていう雰囲気があるけど、僕のサロンは何もしてない人がいない、必ず動かないとダメっていう文化を作りたい。ROM専とかあり得ないからって言う。
ー今は、第1期のメンバーでその文化を作っていく段階ということですか?
吉田:そうですね。タカオミ動画編集室は相当やらないとダメらしいよって認知されてきたら、枠を増やすかもしれない。僕がガチすぎて、ついて来れなくなる人も出てくるかもしれないです。「熱中症になってもいいから甲子園での優勝を目指すぞ」みたいな体育会系のサロンにしていこうと思ってます。
初期のみの編が「やらない奴は去れ」って言ってたような感じですね。動画をただ見てかっこいいとか言ってても、何もなんないから作れみたいな。
ーでは、吉田さんのサロンは人を育てるというよりも、ガンガン一緒にやっていくというものなんですね。
吉田:そう。映像や動画の世界って天井を見ると半端ないんですよ。上の人はいくらでもいる。超有名な人とかは技術とかじゃなく、発想がもう届かないところにいるんですよ。だから、僕は偉そうに言える立場じゃないんですよ。
でも、有名な人でもSNS用の動画について分かってないこともあるから、そこはチャンスだと思ってる。だから、(タカオミ動画編集室は)ラボなんですよ。研究して、SNSでこういう演出を作ったらウケるんじゃないかってアイデアを出して、実際に作ってみる。そういうのをやっていきたいんですよ。
ーまさに、タカオミ動画編集室のテーマ「爆速アウトプット・爆速成長」ということですね。
吉田:そうです。やっぱクオリティも大事だけど、バズとかを考えるとスピードの方が大事です。ZOZOの動画は(出すのが)遅かった。
吉田:あれは当日とか翌日の朝にあげないと、本当は間に合ってなかった。ちょっと回線の関係とかで上手くいかなかったんですけど、僕が東京にいたらそれができた。あの時は悔しかったですね。記事に負けないくらいのスピードで本当は出したかった。
だって、記事よりも動画の方が速かったらびっくりするでしょ。「速っ! ヤバい。どうやってるの?」みたいになるじゃないですか。動画のクオリティがどうとかじゃなくて、この速さで出てくるの? ってバズるかもしれない。スピードというのは、一個のパラメーターとして価値があるんでどこよりも速く出していく。
その動画に「哲学」はあるか
吉田:スピードと量を重視したサロンにしたいなと思ってるけど、それは適当にルーティン化するということじゃない。この動画はこういうことを伝えたくて、そのためにこういう表現手法を使ったと一個一個に対する思い入れというか熱をしっかり込めて作らないと意味がない。
ーONE MEDIAの明石さんが言う「哲学」ですね。
吉田:そうです。僕も、もちろんそういう熱や「哲学」はあって、ずっとそういう動画を作っていたんですよね。社会に対してこういうことを伝えたいっていう動画を作っていたんですけど、なかなか広がんなかったんですよ。
でも、みの編でちょっとおしゃれ系の動画を作ったら超広がったから、これでいけるじゃんみたいな感じになってたんです。けど、明石さんに「哲学がない」と指摘されて「そらそうだわ。なんていう動画を作ってんだ」って思い直しました。やっぱり「こういうのがかっこいいんでしょ?」みたいな感じで作ってたら一生成長しない。それは手先の技術で作っているだけだから。
多少かっこ悪くてもいいから、ちゃんと作るべきです。僕はずっとそう言ってたのに、なんで自分で忘れてたんだろう。あと一個、同じように忘れていたことがあって。プロの動画クリエイターとは何なのかっていうことです。プロとアマの違いってあるじゃないですか。よく言われるし、人によってそれは違うと思う。
けど、僕はプロの動画クリエイターっていうのはカットのアングルや長さ、エフェクトの雰囲気とかどこの部分を聞かれても理由を説明できる人だと思っています。ここにはこういう理由があって、こういうことを視聴者に感じてほしかったから、このカットがあるんですっていう。
無駄なカットなんて一個もないのがプロだと僕は思う。それをちょっとみの編では忘れてたんです。かっこよかったらバズるという安直な考えで作ってた。でも、それを明石さんの言葉で思い出した。そういうのをちゃんとやっていけるサロンにしたいなって思いますね。
ーじゃあ、テーマの「爆速アウトプット・爆速成長」には「哲学」も含まれるんですね。
吉田:そうです。本当に速く作るけど、適当にはしない。動画は書き出したら直せないから間違いはダメだけど、最悪ミスがあってもいいというぐらいの勢いで出すって感じですね。やっぱSNS向けの動画は速く出す方が絶対いいから。
連載第一回はこちら。
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編集 近藤佑太 橘田佐樹
写真 山﨑凌
バナーデザイン 前田高志
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