嘘が真実に変わる前に 北野唯我著『転職の思考法』 #熱狂書評
8月8日、箕輪厚介さんと北野唯我さんの就活・転職相談会が開催されます
転職業界の最先端に身をおき、転職の思考法を確立された北野さん。
転職先の幻冬舎で、キャリアアップという言葉では言い表すことができないほどの活躍をみせる箕輪さん。
「職業」の概念が揺らいでいる現在において、ここまで魅力的な就活・転職相談会は他にありません!
北野さん初の著書である『転職の思考法』は、6月21日に発売されてからAmazonキャリアカテゴリーで一位を獲得し、発売1ヶ月で6.5万部突破するなど世間の関心の高さが伺えます。
ブラック企業の違法残業、ハラスメントなどの労働問題などがメディアを騒がせ、我々の労働環境が劇的に変わろうとしています。しかし、根性論や前例主義など時代錯誤な体質が社会に根強く残っていることは、みなさんご存知のことと思います。
不満を抱えながらも会社にとどまっている労働者は多く、転職市場の流動性が低いことで日本経済は停滞しているとも言われています。なぜ流動性が低いのか、転職格差が生まれてしまうのか。
そんな『転職の思考法』の熱狂書評を「嘘」という観点から書いてくださるのは、箕輪編集室メンバー清水翔太さんです。
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嘘が真実に変わる前に
人間は、つい嘘をついてしまうことがある。一度出た嘘は、口の中に戻すことなどできないから、もう一つ嘘をついて打ち消そうとする。
「嘘」というものは、真実でしか打ち消せないから、増幅してやがては相手を襲う凶器に変化する。そのように、言葉が凶器に変わる瞬間を体験したことがある人は多いだろう。
だがその「凶器」は必ずしも他人に向かうものなのだろうか。刃先が自分に向けられることはないだろうか。
”『辞められない』という思い込みの檻の中に閉じ込められたら、どんな人間も必ず小さな嘘をつくことになる”
北野唯我さん著『転職の思考法』に記されている一文だ。人生の大きな帰路の一つである「転職」。今の会社に残るか、新しい会社に移るか。そのことを考える際、多くの人は自分に凶器を突きつけるらしい。
なぜそこまで自分を追い詰めてしまうのだろうか。その答えは、主人公「青野」のコンサルタント「黒岩」が、以前会った若者について語った一言にある。
”彼も、君と同じように仕事にやりがいを見失っていた。だが、何も行動に移せなかった。なぜなら、その職場以外に居場所がないと思っていたからだよ”
「その職場以外に居場所がない」という思い込み。そう思い込んだ方が楽だからか、そう思わざるを得ないほど自分に自信がないのか。根拠がないことを事実だと認めている時点で、これは明らかな嘘だ。
自分に嘘をつき本心を脅して思考停止させてしまう「転職」という言葉。次のステップに移りたい、今の会社にもういたくないと思っているのに動けない。
心が膠着状態に陥った人間は、驚くべき思考回路に至る。それは、嘘の正当化だ。
「目の前に刃物があるんだよ? 進める?」「いや、さすがに無理だよね」「傷を負ってまでやりたいことなの?」「そう言われると、ちょっと違うか」という負の自問自答は、やがて嘘を真実に変えていく。
つまり転職願望という本心を押し殺したうえ、会社に縋りつくように依存してしまうのだ。やがて自問することすらしなくなり、「妥協」や「怠慢」といった人間の悲しい性(さが)が押し寄せ、かすかに残る活力を食らい尽くしてしまう。
では、どうすればいいのか。その答えは、この『転職の思考法』に記されている。葛藤し続ける主人公「青野」を憑依させながら熟読すれば、眼前に舞い降りてくることだろう。
あなたが本心を押し殺してしまう前に、嘘が真実に変わる前に、ぜひ手にとっていただきたい一冊だ。
清水 翔太
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嘘をついていると、いずれ自分の中で真実になる。その「真実」が本当に望むことなのか自問自答をすべきでしょう。そして、望む方向へ舵を切る行動に出るべきです。思い悩む背中を押してくれる答えが『転職の思考法』に書かれていると清水さんは言います。
檻の例え話で思い出すのは「サーカスのゾウ」です。
サーカスのゾウは子どもの頃から小さな杭に繋がれて調教をされている。体が小さいゾウは、いくらもがいても杭が抜けないことを悟る。その後ゾウは大きく成長し、簡単に杭が抜ける体格になっても抜こうとはせず、自らを檻に閉じ込める。
転職の決意を表明した途端に「新しいところでやっていけない、食っていけない」と言われることを心配してしまうのもよく分かります。
しかし、実際に起きていない嘘(=杭)を信じ切って檻に閉じ込められたままだと、いざ檻が壊れた時に武器を持たない丸腰のまま、弱肉強食のジャングルに放り出されることになります。
本書では、市場価値を高める方法が多く紹介されています。いわば弱肉強食のジャングル「転職市場」で打ち勝つための武器を製造する方法が記されているのです。
転職を考えている方はもちろん、転職を考えていない方でも自分の武器を磨くために、一度手に取って読まれてみてはいかがでしょうか?
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