夕刊ミノ

今日から使えるコミュニティ論 ~『安全・安心と熱狂』編~【夕刊ミノ】 コミュニティデザインチームレポ


こんばんは。箕輪編集室コミュニティデザインチーム(以下、コミュデザ)のコミュデザラボ2期・一話完結型アウトプット班の高根修也です。
3月15日の夕刊ミノをお届けします。

コミュデザラボとは
コミュニティについて研究し、コミュニティ運営におけるエッセンスを見出していく実践型のプロジェクトです。
現在は第二期が活動中で、「一話完結型のアウトプット」「コミュニティ運営におけるリーダー論」「オンラインサロンの教科書作り」の3つの班に分かれています。

今回は、「一話完結型のアウトプット」班から、より多くの方にコミュニティについて興味を持ってもらえるように、「今日から使えるコミュニティ論」をまとめました!

コミュニティ論がわかりやすく書かれた名著、佐渡島庸平さんの『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』を要約して、全3回に分けてお届けしていきます!


安全・安心の重要性

コミュニティの重要性はいろいろなところで言及されている。しかしいきなり見ず知らずの人が集まる場に飛び込むのは誰でも難しいものだ。

コミュニティに所属しているすべての人は主観的な安全・安心を確保したいと考えている。既存のコミュニティメンバーがそれに配慮することによって、属している感情がより強くなる。

(例)佐渡島さんが主宰するオンラインサロン「コルクラボ」に所属する医療関係者は、患者の安全安心を確保することで、気軽なコミュニケーションをとれるようにし診断に役立てていたという。
今までのような地域や血縁に縛られた世界では、社会的強者の安全安心が確保されてきたため若者が割りを食っていた。しかしネットが発達してきたことで、よりきめ細かくスムーズにコミュニケーションが取れるようになり、安全安心を求めるニーズはより高まって来ている。


安全・安心とは

安全は、客観的に身の回りに危険がなく、危険があったときの準備ができている状態。
安心の定義は、安全が確保された上で「人が予測している状況と大きく異なる状況にならないと信じている」状態をいう。

①立場や状況によって異なる。
(例)甲子園を目指す野球部に、遊びで野球をやりたい人が入部してきた場合、安心・安全は脅かされる。逆も然りである。

②安全は場所やモノにひもづく。安心は人の心理状況にひもづく。
(例)「東京は"安全"な街だ」「東京は"安心"な街だ」
前者は客観的な事実であり、後者は事実に加えて発言した人の意見が反映されている。

③安全は確保されていても安心は確保されていない状況は起こりうる。
(例)原発

④行動を予想できることが安全・安心に繋がる。
それぞれのメンバーが行動を予想できることが、コミュニティを安全・安心な場にする上で重要。
(例)ホリエモンのサロン「HIU」では、ホリエモンがメンバーに厳しい言葉をかけながら物事を進める。一見して安全・安心がないように思えるが、ホリエモンは普段からそういう振る舞いをするので、メンバーの安心を脅かすほどになっていない。


コミュニティの拡大はメンバーの安全・安心を脅かす

コミュニティに入ってきたメンバーは、「自分達は安全・安心が確保されていない。既存メンバーに安全・安心を確保して欲しい。」と考えがちである。
一方で、既存メンバーは「新しく入った人によってコミュニティが育んできた文化が変えられてしまうかもしれない」という漠然とした不安を持っている。

コミュニティが拡大するたびに、新旧メンバーの安心・安全が脅かされることになる。それを理解した上で双方の安全・安心を確保できればコミュニティはおのずと熱狂を持続しやすくなる。

熱狂より安心・安全が先

コミュニティに安全・安心を確保した上でメンバーを熱狂させる。そうしないと熱狂が暴走してトラブルが起こりやすくなってしまう。

(例)佐渡島さんのサロン「コルクラボ」では、熱狂を起こすことでメンバーは大量の投稿をするなど活動が活発になったが、数ヶ月すると熱狂に疲れて脱落する人が増えてきた。

これを受けて佐渡島さんは「この仕組みは違う。熱狂だけが善ではない」と感じたという。
そこで「熱狂→拡大→熱狂」ではなく、「安全・安心の確保→熱狂→拡大→安全・安心の確保」というサイクルを実践し成果が出てきたという。

信仰、信用、信頼の違い

コミュニティの中に安心・安全を確保できた後に、目指すのは「信頼の構築」だ。

信仰は、ある対象を疑わずに、無条件で信じること。
信用は、過去の実績や成果物に価値があると評価することだ。
信頼は、信用を土台として不確実性な未来も含めて信じている状態だ。

信頼関係の重要性

利害関係のないコミュニティで、プロジェクトを進める時は、信頼関係を築きながら進めないと空中分解してしまう。そうなったら関わった人たちと会うのも気まずくなり、結果的にコミュニティにも居づらくなってしまう。

それを回避するためにも、きちんと自分ができることをコミュニティのメンバーへ伝えておくことが重要だ。そうすることでメンバーはコミュニティにとってあなたは何者かがわかるようになり依頼をしやすくなる。

メンバー集めにも一工夫がいる。まずは信頼のおける同じ水準のモチベーションで動いてくれる仲間を一人だけ誘う。二人になったら、それぞれが信頼できる人間を一人ずつ誘うようにする。このように、徐々に仲間を引き入れていくことがコミュニティでプロジェクトを動かしていくときのコツだ。

急ごしらえの信頼関係で大人数を動かすことはとても難しいのだ。安全・安心を確保した上で、小さな熱狂を起こし続けなければならない。

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いかがだったでしょうか?
コミュニティの重要性が叫ばれている中で実践的なお話しがいくつも載っていました。みなさんもコミュニティ作りで実際に試されてみてはいかがでしょうか。

次回は、「コミュニティ設計の方法」についてご紹介したいと思います。
ご期待ください!

テキスト/荒木利彦高根修也コバヤシヨシトモ氷上太郎天野慎治
編集/鈴木健太


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