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「言葉」を研ぐ 見城徹著『読書という荒野』 #熱狂書評

人間を人間たらしめるのは言葉だ。

『読書という荒野』の文中に光るこの言葉を体現するかのように、無限に放たれる「熱狂書評」。

そして昨日に引き続き、「熱狂書評」の言葉を紡いだ『読書という荒野』のPR動画を、箕輪編集室のよこやままさあきさんがつくってくれました。

もはや映像の中でも、**選び抜かれた「言葉」は圧倒的に光っています。 **

生き方から搾り出されてきたものが言葉であり、そして自分の発した言葉がまた自分の生き方をつくっていくのだ。

こうして流れてくる「熱狂書評」は、発信者の生き方から生まれてきたものであり、そしてそれが今後の生き方に繋がっていく。

本日はそんな「言葉」の視点から書かれた、箕輪編集室メンバーの石川遼さんの書評を紹介します。

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**己の武器を研ぎ澄ます **

“「言葉」は武器なのだ。”

 幻冬舎社長・見城徹さん以上にこの言葉が似合う男はいるのだろうか。『読書という荒野』を読んで、一番印象に残った言葉はそこから続くこの文章だ。

“豊富な読書体験を経なければ、武器となる言葉は獲得できない。人を動かすには、一にも二にも頭がちぎれるほど考えて、言葉を選択するしかないのだ。”

 見城さんは、言葉こそが編集者にとっての“唯一の武器”だと表現する。常人には理解が及ばないような膨大な読書体験によって、正確な言葉を獲得し、その言葉を持って数多の作家を相手に仕事をこなしてきた。
 
 それでいてなお、日々の自己検証を怠ることもなく、自己嫌悪や自己否定を繰り返しているという。飢えた獣が容赦なく獲物を狩るようなその貪欲さが、見城徹という男の武器を尖らせている。だからこそ、見城さんの言葉は人の心にもずぶりと深く刺さっていく。

 あらためて、その自己検証を自分に向ける。僕はWebメディアで編集やライターとして仕事をしているので、日々、言葉と向き合う。自分は誰かの心を揺さぶるような「言葉」を持っているのだろうかと考える。

 言葉を誰かに届けようと思うと、どうしても強い言葉を使いたくなる。ニュースや週刊誌でも「衝撃」、「激怒」、「業界激震」といった強い言葉が見出しに並ぶ。「全米が泣いた」のような言葉はもはやネタとなっている部分はあるが、やはりこういった本質的ではない言葉は使いたくはない。

 「激怒」と書かれても本当に顔を真っ赤にして怒っている人なんていない。「激震」はもはや震度1も揺れていないだろう。こういった中身のない言葉を使うと、自分の感覚や言葉が鈍化していく。

 自己検証を欠かすことなく、自分の武器である「言葉」から余分な部分を削ぎ落とす作業を厭わない人間でいたい。ギリギリまで研いでおかないと、いざというときに使いものにならないだろう。

 さらに、見城さんはこう語る。

“人間は多様で、様々な価値観を持つ。そうした他者への想像力を持たないものに、成長も達成もない。”

 受け手となる他者を思い、一文、一単語、いや一文字一文字に至るまで自分が獲得してきた言葉にこだわり抜くことが成長につながる。

 長い長い積み重ねの人生の中で、酸いも甘いも噛み分けた先でようやく獲得できる言葉がある。

“そしてこの力は、一朝一夕に身につくものではない。それは地道な読書によって厚くなっていくし、同時に実際の人生において、いじめられたり、理不尽を味わったり、地獄を経験すればするほど強くなっていくものなのだ”

 本を閉じると、表紙に映る眼力鋭い見城さんが訴えかけてくる。

「実践しなければ読書じゃない!」

 動き出さなきゃ、何も変わらない。

石川 遼

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言葉を選び取る作業はとてつもなく苦しい。どれだけ言葉を尽くしても100%に近づけようとするために、無限とも思えるエネルギーを使って、言葉を選択する必要がある。この作業にはいつも、胸をかきむしられる思いがする。

「書評を書く」という行為は、まさに「言葉を選び取る作業」です。自分の解釈や思いを、未来の読者に100%伝えようとして、もがき続ける行為。著者の言わんとしていることを想像し、そして未来の読者にわかりやすいように言葉を紡ぐ。

著者と読者の狭間に立ち、果敢に「言葉」を研ぎ澄ませる。それは苦しい行為かもしれません。

しかしそれは、盲目的に「言葉」を研ぎ続けることではありません。

少しでも、相手の心情に寄り添った表現をしたい。正確な単語を使いたい。そのための武器となるのが、読書によって培われる、他者への想像力と語彙力である。

「読書」によって、「言葉」の研ぎ方を覚え、まとわりついた贅肉を切り落とす。やはり、何かを「書く」という行為は、「読書」に回帰するのでしょう。

書評に迷ったら「読書」という原点に戻る。無心にページを繰り、そこに見える「言葉」を逃さず掴み、優しく紡いでいく。

「熱狂書評」は、そうしてできた一つの線であってほしい。そう願うばかりです。
まだまだ募集している「#熱狂書評」。もがきながら研がれた、きらりと光る「言葉」をお待ちしています。


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テキスト 清水翔太
編集 篠原舞

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