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『あなたが、本を、書くべき理由』箕輪厚介 はじめに無料公開

沖縄行きの飛行機の中で、wifiも使えないので、
『あなたが、本を、書くべき理由』箕輪厚介、という仮想の本の「はじめに」だけを書いてみた。

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「あなたが、本を、書くべき理由」

箕輪厚介

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はじめに〜目次を刻んで生きるために〜

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あなたは、今すぐに、本を書き始めるべきだ。

本を書くのは辛い。時間もかかる。そして、なんとか頑張って本を書き終えたとしても、そこら辺の人が書いた本なんかたいていの場合売れないし、出版もされない。

しかし、たとえ本屋さんに並ぶことがなかったとしても、自分の本を1冊書くということは、あなたのこれからの人生において、とてつもない効果をもたらす。

だから絶対に本を書き始めるべきなのだ。

僕は書籍編集者だ。

気になる著者を探し、本を書いてもらう。

僕が編集する本は専門書や学術書とかではなく、その著者個人の生き方や考え方を軸に置いている。

その本のテーマが、お金であろうと、コミュニティであろうと、動画であろうと、役立つ情報だけではなく、書き手自身の生き方や考え方を、すべてさらけ出してもらう。

家族にも部下にも友達にも、ここまで言わないよな、というレベルで、全部さらけ出してもらう。本物の言葉を引き出す。それが僕の仕事だ。

それは見城徹の言葉を借りると「かさぶたをめくり、塩を塗り込む」作業だ。

痛いし苦しい。しかし、これをやってもらう。

なぜか。

それは、どこかの誰かが話しているような、通り一遍のことを書いてある本なんて、面白くなくて売れないからだ。

その著者だけが持つ価値観や変態性、狂気やトラウマ。唯一無二のユニークさやオリジナリティがその本の個性となり、それが際立てば売れる。

だから僕が著者に内面をさらけ出すことを求める。僕の仕事はそれだけだ。

編集者として、著者に「あなたは何者なんだ?」と問い続ける。

起業家です、歌手です、教授です。そういうことではない。

あなたが世界に対して圧倒的な異物である部分はどこなんですか?と問い続けるのだ。

僕が本を書いてほしいと思う著者は、世間と自分が、水と油のように、いくらかき混ぜてもかき混ぜても分離してしまう異物だ。変態だ。きちがいだ。

その圧倒的異物感を本として表現した時に、人はそこに感動したり、共感したりする。この世にあらざるものを見たという衝撃を覚える。

話を戻す。

なぜ、有名人でもないあなたが、本を書き始めるべきか。

それはさっき僕が書いたように、売れる本、面白い本、良い本にしようとすると、必然的に自分の内面をさらけ出さざるを得なくなるからである。

読者に面白いと思ってもらうために、自分だけにしか書けないことを探し始める。

そして、飲み会などでは決して言わない、本当の自分を見ることになる。

あるいは、逆の方面から言うと、世界に対してまったくオリジナリティがない自分を見ることになるかもしれない。

しかし、その残酷な真実を見るためにも、本を書き始めてみるべきなのだ。

好きな言葉がある。萩本欽一さんの言葉だ。萩本欽一さんのファンでもないけれど、大学生のときR25のインタビューでその言葉を発見し、それ以来大切にしている。

「自分が死ぬ前に、自伝を書くとして、できるだけ分厚い本になるような人生を送りたい。成功したとかお金持ちになったとかじゃなくて、目次が多い本。つまり良いことも悪いこともたくさんあって人が読みたいと思うことをいっぱい経験出来たらいいなと思ってる」

みたいな言葉だった。もう10年くらい前に読んだから、自分の中で膨らんでいて、全然違う可能性もあるけど、それでもいい。大体こんなようなことを言っていた。

僕はこの言葉に猛烈に共感した。

これ以来、あらゆるトラブルや困難が自分の身に降りかかっても、「これは自伝を書く時に、3ページくらいになるなあ」と心の中で思っている。

そう、本を書く前提で生きていると、日常のすべて、良いことも悪いことも、それは人生を彩るイベントだと思えるのだ。

会社が倒産しても、5P分のエピソードゲット!と思えたら最強だ。

しかし、さっきも書いたが、これは逆から見ると、本を書き始めたが自分には本にするようなエピソードがひとつもないという現実に突き当たることもあるだろう。

しかし、それでいい、残酷な真実を知ることから人生はスタートする。

自分の人生を編集者目線で見て、今この瞬間から、読者が胸躍るようなリスキーで狂ったチャレンジをすればいいじゃないか。

僕は主に、起業家の本を編集しているが、一冊の本を出した後に、その起業家の事業が加速するということがよくある。

それは、その起業家自身も普段は忙しくて言語化していない、自分という人間も深く掘り下げることで、自分を知り、より明確に自分が世界に対して何をしていくべきかを意識できるようになるからだと思う。

この本では、編集者として、僕が普段どのように著者の内面をさらけ出させて、一冊の本として完成させるか。その方法を具体的に書きながら、あなたが本を書き始めて、人生を何百倍も色濃いものにできる手助けをしたいと思っている。

箕輪厚介

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