「けんすう流 愛されるサービスの作り方」 古川健介×箕輪厚介 in 2月定例会
本日2月14日(木)、実業家である古川 健介さん(以下 けんすうさん)を招き、定例会が開催されました。
ご存知の方も多いでしょうが、けんすうさんといえば1990年代からネットコミュニティの最前線で活躍した人物です。学生コミュニティ「ミルクカフェ」を開設、レンタル掲示板の「したらば」を運営するなど、学生時代から多くの“愛されるサービス”に携わってきました。
最近では「アル」というマンガにフォーカスした新たなサービスを開始されました。
定員80名に対して130人の申し込みが殺到し、地方チームではライブビューイングまで行われている本イベントの「速報」をお届けいたします!
考え方を少し変えるだけでサービスは格段に面白くなる
「けんすうさんは何が目的なの? 面白いアイデアをくれるいい人なの?」
箕輪さんのそんな一言から始まった本イベント。けんすうさんがなぜ面白いアイデアを考えつくのか、そこから話は始まりました。
「マーケティングでは顧客にはドリルではなく穴を与えろというけど、僕はドリルをあげたくなるんですよね。」
自身が思いついたことを人に話すことで、その人が実行していく様子を見るのが楽しいのだと話します。そこに、お金は関係ないのだと。
アイデアの出し方が天才的だと褒める箕輪さん。けんすうさんは、これからは「時間を味方にするサービス」でなければ、長く続けることはできないと話します。
けんすうさんがキングコング 西野亮廣さんのオンラインサロンにて提案したことの1つに「1年経ったブログをオンラインサロンのメンバーは自身のブログに転用出来る」というものがあります。
このアイデアの元となったのは、某写真撮影会社で実際に提供されているサービス。子供の記念写真を撮るこの会社では、プランに含まれる数枚の写真以外のデータを、1年後に送付するシステムになっているそうです。
子供の成長は早いので1年後受け取ったデータの価値は“今”よりもはるかに下がってしまいます。受け取る時期によって料金設定を変えることで、スムーズに売り上げをあげることができます。
この事から、時間を味方につけるサービスのフレームを見つけたけんすうさん。
スピード感著しい西野さんによる1年前の投稿は、価値がなくなってしまっていると思われがちです。そこで視点を変え、新たに名言集としての発信ができれば、それは新たな価値を生みます。
考え方を少し転換させることで、面白いサービスはいくらでも生まれる。数々のサービスを成功に導いてきた彼の視点に、会場の温度は上がっていきます。
ちなみに、箕輪さんがけんすうさんの発言で一番刺さったと話したのがこちらのツイート。
どんなサービスでも地道な努力は必要不可欠です。けんすうさんがはじめた「nanapi」というサービスも2年位は全然奮わなかったのだそう。地道な改善を繰り返していった結果、気がついたら月一千万ユーザーを越えていました。
同じように、秋元康さんのAKBですら長い潜伏期間がありました。「秋元康は終わった」「センスがない」こういった声に耐え続け、地道な努力を続けた結果、今の成功があるのです。
浮動票を大切にしようー2:2:6の法則
けんすうさんは人間関係を考える時、中立的な人たちの存在を大切に考えていると言います。
「10人友達がいれば、2人は好き・2人は嫌い・6人が普通と分類されます。この浮動している6人に親切にするのが必要です」
人を10人集めたとしたら、そのうちの2人が味方、2人が敵、6人が中立になる。2人の敵は、最初から敵なのでそこまで気にする必要がなく、重要なのは6人の中立的な人たち。このグループがどう動くかによってその人の命運が決まります。
もしこれが10人中4人以上が敵になった場合、流れは一気に変わります。だから中立的な人たちには親切にすべきなのです。
最近急激にブレークしたことから、いつか破滅することを肌で感じているという箕輪さん。
箕輪編集室メンバーが何らかの犯罪を起こしてしまったり、万が一自身が傷害事件でも起こしてしまったら…。ノリにノっている状態が壊れるタイミングは、予測不能です。
箕輪さんの認知度が急激に膨らんだ分、その反動はとても大きくなると容易に想像ができますよね。浮動票を失わないためにも、細心の注意が必要になってきます。
肥大化するコミュニケーションは長持ちしないー新漫画サービス「アル」について
現代人のコミュニケーション量は異常です。Twitterでは10万人以上のフォロワーを持ち、まさにその最中にいる箕輪さんは、朝起きてもSNSを触りたくない、怖いとさえ感じることがあるのだそうです。
時代の変化とともに食べるものが変化し、人が体調を崩すことがあるように、このコミュニケーション量の肥大は現代人の肥満のようなものだと話します。
糖類や炭水化物と同じように、コミュニケーションは人間にとって必要不可欠なもの、しかし取りすぎてしまえば健康を害してしまうのです。
そのようなサービスと真逆になりうるサービスが、けんすうさんが新たに立ち上げた漫画サービス「アル」。佐渡島庸平さんの漫画サービス「HONZ」からもライバル視されているそうです。
「マンガファンの愛で作るマンガサイト」として立ち上がったアルは、みんなで作り上げるサービスとして新しいプラットフォームを見せてくれます。
もともと、Webでサービスを作るのであれば、「ユーザーが投稿することで今までなかったコンテンツがネット上に出て、みんなが見れるようになること」を目指しているけんすうさん。これまではそれがお金を稼ぐことには直結しなかったそうですが、「アル」はその部分をクリアできるものにしたかったのだそうです。
「漫画が好き」「長期間を漫画のために捧げられる」「Webコンテンツに強い」
これらを出来るのは自分しかいないと感じたけんすうさんは、このサービスを始める覚悟を決めたそうです。
「アル」のサービスの主軸となるのはレビュー。平均的に見たフラットな意見よりも、偏愛に近いコメントを多く集めたいと話します。
本当のマンガファンが喜ぶ本物のサービスを作ること。
マンガサイトにおいて大量のレビューを集めることは運用側にとってとても難しいこと。「アル」ではユーザ自身のGmailアカウントを連携させることで、今までに買ったマンガ情報を取得できるような仕組みになっていてリアルな購買者のレビューを見ることができます。さらに購買行動のデータを分析することで、その人にふさわしいマンガを推薦することもできるそうです。
漫画が好きなユーザー同士が繋がり、サービスが作り上げられていく。その信頼がさらなる人を集め、長く愛されるサービスになるのでしょう。
この後も、けんすう流・箕輪流の“今”愛されるサービス談義は続きます。箕輪編集室メンバーは、このイベントの全編を視聴できます。これから入会される方も、アーカイブが残されているのでぜひご覧ください!