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WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE はじめに

おはようございます。今日も箕輪をやってます。

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』
の帯には「みんな居場所がない」と書きました。


スマホによって大衆的なモノはもはやなくなり、一人ひとりは、より多様化していったと感じます。

これは悪いことではないけれど、
例えば、年齢も性別も同じ、会社の隣の席の同僚であっても、まったく価値観やライフスタイルが違うというのが普通だと思います。

ひと昔前のように、みんな昨晩のテレビの話、野球の話をするといったコミュニティはもはやありません。

一人ひとりが、自由にはなったけれど、それに伴って孤独にもなったのではないだろうか。

WE ARE LONELY の中には、現代の病である孤独について深く書かれています。

コミュニティは持続的なビジネスを作るためにも大切ですが、その根っこには孤独を癒すために求められているものだと思います。

今日は『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』の「はじめに」を公開します。

今日発売なので、是非読んで感想を書いてください。


We are lonely, but not alone

孤独を感じたことがない人はいないだろう。これだけたくさんの人が周りにいるのに、誰もが孤独を感じている。

孤独は、もともとは青春の病ともいえる。そこから抜け出すことが、大人になることだ。

僕も中学時代は、孤独を感じていた。父親の仕事の関係で、南アフリカに住んでいて、当時はネットもなく、日本の友人たちと連絡をとる手段はなかった。

数年で去ることが決まっているため、現地の人たちと深い関係を築くのも難しい。

空を眺めては、 「この空は日本にまでつながっているのに」と思いながら、異国の地で孤独を噛み締めていた。

家族は、孤独を癒す対象にはなりえなかった。孤独は、周りに人がいるかどうかではない。心のつながりの問題だ。

その後、高校、大学で、たくさんの友人はできた。しかし、孤独は消えなかった。

サークルの飲み会に参加しても孤独が増すだけで、一人で過ごしているほうが不思議なことに孤独を感じなかった。

編集者となり、作家といろいろなことを語り合い、信頼関係を築けるようになった。

それで、僕の孤独は、少しは癒された。
問題はコミュニケーション能力で、社会人になってさまざまな関係の人とコミュニケーションをとるようになり、それが改善しただけかもしれない。

人は孤独なのが当たり前だ。そんな風に考えるようになり、それを寂しいことだと も思わなくなった頃、『宇宙兄弟』のファンイベントがあった。

それに参加しながら、なんとも心が温かくなった。不思議な感覚だった。

世の中を観察すると、人と人は、SNSでどんどんつながるようになっている。知り合いが増えて、やりとりも増えて、情報交換は忙しくなっている。

でも、つながっているのに孤独は増している、そんな不思議な状況が社会では生まれている。

あのファンイベントで感じた、僕の心の動きはなんだったのか?

そこから、どんな仮説が立てられるだろうか? と考え続けた。

今まで、人は、意思とは関係なく、コミュニティに所属していた。

地域、学校、会社。どれも、参加するという意識を持たずに、生活していく上で所属せねばならないコミュニティだ。

そして、そのコミュニティに合わせて、自分の心をちょっとだけコントロールしなくてはならず、そのちょっとが、大きな心理的負担になっていた。

自ら参加する、趣味を軸にしたコミュニティを持ったら、人はどのようになるだろう?

それが、コミュニティについて、考え出したきっかけだ。

コミュニティは、すごく当たり前の存在だ。何を今更と思うかもしれない。

しかし、すでに存在していたり、自然発生したコミュニティの管理はよくある話だが、ゼロからコミュニティを立ち上げる話は意外と少ない。

さまざまな挑戦が行なわれているが、どれもインターネット以前の地域コミュニティに関するものばかりだ。

コミュニティについて考えることと、孤独について考えることは似ているように感じる。

『宇宙兄弟』の中にこんなセリフがある。

「We are lonely, but not alone.」

このセリフは、宇宙で一人漂う宇宙飛行士が発するものだ。

しかし、たくさんの人間に囲まれていても、lonely にはなる。

どうすれば、not alone になれるのか、コミュニティについて考えながら、探りたいと思う。

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