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寄付や経済格差は離れた世界の話ではない

こちらは、5月31日に今井紀明さんをお招きして開催した「次世代の才能を編集する」の書き起こし記事です。

*前回の記事はこちら

寄付の概念をアップデートする

今井:今、「NPO未来ラボ」というオンラインサロンをやってて。起業家とかNPOの職員さんを巻き込んで、これからアップデートしていこうみたいなことをやってるんですよ。

そのきっかけは完全に箕輪さんだった。Twitterで見てて、こういうコミュニティのあり方があるんだなと。僕は今32歳なんですけど、同世代からすごい学ぶんですよね。僕も起業して6年経って、社会的にやれることが増えてきて。でも、このままじゃダメだなって思う瞬間もいっぱいあって。

だからこそ、このまま止まらず新しいことをどんどんやって、もっと巻き込みたい。それこそ全くNPO と関係ない人とか興味ない人を巻き込みながら、社会を変えていきたい。

箕輪: NPO やボランティアとか社会事業の欠点は、ある種世界観や正義感がありすぎて、それ以外の人が違う世界だと思っちゃうんだよね。この前、僕が「せりか基金のシリコンバンドを10本購入した!」ってツイートしたの。

そしたら、佐渡島さんが「箕輪編集室では祭りになるのに、俺のコミュニティだとならないんだよな。そういうテンションの人がいなくて上手くいかなかった」と。で、僕は「佐渡島さんのコミュニティの人は、せりか基金っていうちゃんとしたものに対してはしゃいで祭りにすることにちょっと気が引けるんじゃないんですか?」って言ったの。

ホリエモンとか本当にお金に興味がない人は、お金を無色透明だと思ってるんだよね。綺麗も汚いもなくて単なる価値交換手段なんだから、どんな手段で集めようが関係ないじゃんみたいな。でも、お金に興味がある人は色があると思ってる。だから、こんなバズって集めたお金を難病のために使うことはいいのかなって思う人が多いよね。

今井:それは僕も同感です。勢いで寄付しようっていうのを僕は大事にしてて。自分がすごい共感することに対して、もしくは興味がなかったとしても「あ、これいいね」みたいなことにもっとお金を投じていこうよって。僕自身、実践して動きまくってるんだけど、あんまり共感されてるわけじゃないから、そういう社会のムードはどう変えていけばいいのかなと思いますね。

箕輪:ポルカみたいなノリでやればいいんだよね。僕たまに「財布なくしました」ってポルカやると10万円くらい毎回集まるわけですよ。でも、あれって大喜利というかお祭りなのよ。別に本当に助けようと思ってるんじゃなくて、ウケるからやるみたいな。

でも、それが社会活動になったら「この想いに賛同できるだろうか? そこまで深く考えてるだろうか?」って急にハードルが高まるんだよね。生半可な気持ちでやるといけないんじゃないかみたいな。

今井:ノリでやろうよというムード作りだよね。

箕輪:札束とかって一種宗教的な何かを帯びてるじゃないですか。それがくだらないよね。ポルカとかはそこをある種無力化した。ポップなデザインにして、SNSのいいねみたいな感覚に変えたよね。だから、寄付もポルカみたいに気軽な仕組みを作るのが大事だよね。

今井:めっちゃ面白い。

子どもが見る世界を広げる

今井:「次世代の才能を編集する」っていうテーマに関連して、みの編のことをすごい聞きたくて。どうやってメンバーを育ててきたんですか? 毎日note更新とかやばいなと思って。その熱量だけでコミュニティは持続しないだろうから、何なんだろうなと。

箕輪:分かんねぇな。

今井:分かんねぇんだ(笑)。

箕輪:分かんないけど、一つあるのは僕が完璧じゃないことかな。完璧だったら支えようと思わないよね。本当にうちのサロンがコミュニティ化したのは、僕が嫁に家を追い出された時にいろんな人の家に泊めてもらって居場所になっていったからなんだよね。

記事を書くとかアクティブが持続するのは、もう僕のために頑張ってないからだと思いますね。僕が箕輪編集室のビジョンを掲げまくって、そのビジョンにワクワクして頑張ってるっていう感じかな。

今井:それで人が育ってきたということ?

箕輪:何だろうね。勝手に育っているから分かんないけど、育てようと思わないことじゃない? 僕がただがむしゃらに走って、毎日色々やってることを見て、面白いから一緒にやろうみたいな。

今井:僕が対象にする生徒だと、ステージに立つ前の段階だから違うね。

箕輪:それは僕よりも難易度が高いと思う。みの編はお金を払ってるというコミットメントがあるから。もう着火してる状態に油を注ぎまくるのが僕の仕事なの。でも、着火させることはやったことないから分かんない。

今井:10代で結構親から搾取されてる子もいて。例えば、親にお金を取られるとか。10代で食えてない子って見たことないですか?

箕輪:飢え死するってこと?

今井:飢え死まではないけど、栄養とれていないとか。現実的に日本で結構あるんですよ。具体的には、一人親で生活保護をもらってない家庭とか。働いた9、10万をほとんど親に取られるような子たちが公立の定時制高校とかにいて。

箕輪:ある種家庭に洗脳されてるから、世界は広くて親なんかに縛られなくていいよっていう概念すらないのか。

今井:ないんですよ。そういう子たちは関わると変わっていく瞬間があるんですよね。

箕輪:どんどん世界は広いんだと気づくってことだよね。普通の親が「(子どもを)公立学校なんか行かせられない」とか何言ってんだよと思うけど、実際ヤバいらしいね。

今井:うん。日本の経済格差は結構ひどいから。

箕輪:残酷だけど、海外では当たり前の格差社会に日本も到達したってことだよね。

今井:だから、僕たちはその最初の部分を支えて、やりたい子に起業させたり、クラウドファンディングとかでお金を集めたりする。あと、海外に送るとか下準備を作っている。

箕輪:今井さんがやってることで一番大事なのって、こういう世界もあるんだよって情報を教えてあげることだよね。

今井:それもそうだし、まず最初はめっちゃ受け入れること。で、事情を聞いて否定しないで関わる。

箕輪:寝てる子に「おい、寝るな」って言った時点で心を閉ざしちゃうの?

今井:まず無理ですね。

箕輪:僕向いてるかもしれない。そいつが寝てても、隣で酒飲んで一言も喋らないよ。

今井:それめっちゃいいですね(笑)。学校だとアウトだけど、全然ありだよね。

箕輪:もし自分が子どもだったら、寝てると怒られる気もするけど、怒られないっていうのもムカつく。でも、大人が淡々としていると楽だよね。僕がそういう子どもだったから分かる。

今井:箕輪さんすごいな。

箕輪:動物の本能だよね。手懐けようとされてもされなくてもムカつくけど、一緒の動物でいてくれるのがいいみたいな。

今井:あと、本当に合わない子は他の人に任せてチームプレイでやってく。

箕輪:大変だね。マッサージのように揉みほぐしていくんだね。

今井:でも、その仕事って価値ありません?

箕輪:死ぬほどあるでしょ。

今井:だから、協力しながらいろんな人たちとやってます。


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テキスト 新井大貴

編集 橘田佐樹

写真 山内ノブマサ

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