何を話しても、人をワクワクさせられるようになれ
11月28日、10・20代限定で『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』出版記念イベントが開催された。
ピカソは、生きている頃から画家として名声を得て、最も経済的に潤った画家と言われる。一方、ゴッホを始めとした多くの芸術家は、生前に売れた作品は数えるほどで、とても貧乏な暮らしを送っていた。
なぜピカソの作品は売れたのか?
それは、ピカソが人にストーリーを伝えて購入させることに長けていたからだと言われる。
「良いものは自然と伝わるから、そんなスキル必要ない」など思っていると、誰にも届かない。言葉を選択し、ストーリーを編集し、人を惹き込むプレゼンテーションができなければならない。
その「伝える力」について明石ガクト、箕輪厚介が語った。
*前回の記事はこちら
マイナーをメジャーにしていく伝え方
質問者6:私は今「キンボール」という、日本ではまだマイナーなスポーツをやっています。
箕輪:どういうスポーツなの?
質問者6:1.2メートルある大玉転がしみたいなボールを打ったり、スライディングしてとったりします。
私は将来、キンボールをもっと広めて知ってもらえるような仕事をしたいなと思ってて、動画作りに挑戦しています。
お二人に聞きたいのが、そういう新しいことを広げるために、どういうことをしていけばいいと思いますか?
明石:すげぇ分かりやすいのは、今、個人がすごいメディア化しやすい時代なの。だから、正直キンボールを広めようとするのはけっこうしんどい。
例えば、ONE MEDIAがそれを取り上げるかって言ったら、ONE MEDIAのコンテンツとしてキンボールありきだとちょっと分かんない。これは他のメディアも一緒。どんなメディアでも取り上げやすい一つのフックというかキーポイントになるものって、人なんだよね。
例えばサッカーだと、長友が結婚するみたいな感じだったら取り上げられる。じゃあ、長友ってどんな選手なのかって言ったら、「すごくいい選手でこうなんです」みたいな。
マイナースポーツも同じで、歴史を見ると、基本的にアイドルを作るんだよね。卓球の愛ちゃんしかり。最近のマイナースポーツで言うと何だろう?
箕輪:カーリングとか。
明石:そうそう。だから、まずキンボールやってる人の中から、スターを作るんだよ。で、スターはどうやって作るかって言ったら、作られるの待ってるだけではダメ。
神輿を担がれるような、なんか段取りをする。箕輪さんも神輿めっちゃ担いでもらってんじゃん。
箕輪:うん。
明石:俺もそうだよ。もし俺が普通の髪型で、ヒゲもなくて、動画に詳しくなかったら、誰も担いでくれないわけだよね。
箕輪:そりゃそうだよ(笑)。
明石:ていうふうに、キンボールやってる人の中で「なんかこの人はすげぇな。キンボールをめっちゃ熱く語る。面白い」みたいな人とか、あるいは見かけがすげぇ派手な人を担ぐ。
なんかすげぇ現実的な回答しちゃったけど、俺はそういう要素を作っていくのが一番いいと思う。
箕輪:僕もそう思う。空中戦と地上戦っていう2つの方法があって。
空中戦は、今明石さんが言ったように、スターを作ってメディアに売ること。逆に言うと、メディアって、そんなに時間ない人たちが必死にネタを探してるわけだから、僕にテレビのオファーが殺到するのも分かりやすい。
キャスティング会議とか毎回時間がないから、「若くてあんまり忖度しないネットっぽいやつって誰?」って言うと、落合陽一・箕輪厚介・前田裕二がキャスティングされるの。で、あの2人が毎回断って、俺が絶対行くっていう(笑)。
会場:(笑)。
箕輪:しかも、業界狭いからスッキリの放送作家がバイキングも担当してたりする。だから、そういうことを逆手にとって考える。
メディアの人間が魚だとして何のエサだったらパクッて食いつくか想像する。美女、キンボールでこういうふうにやったら食いつくんじゃないかって考えてリリースをばら撒くとか、ネット上でバズらせる、みたいな。
もう一つの地上戦というのは、地熱を高めていくように小さいコミュニティで流行らせていくこと。
HIU(堀江貴文イノベーション大学校)がチャンバラ好きでよくやってる。そうするとね、コミュニティって全部が薄く重なり合ってるから、HIUがやってるとうちでもやろうかってなっていく。すげぇ地道なんだけど、緩やかに流行ってくる。
パンチラインを意識しろ
明石: まあ、とにかく相手に言葉を刺すことだよ。なんか取材された時にダラダラ話すんじゃなくて、 パンチラインだよ。
箕輪:キンボールじゃなくてキンタマって言った方がいいよ。
会場:(笑)。
明石:そうそう、キンタマって言った方がいい。言いたかったのになぁ~もう(笑)。
箕輪:「美女がキンタマをやってる」ってだけで、プロデューサーとか「面白れぇじゃん!」とか言いそう。
明石:起業家がテレビに取材されて、何時間も撮影されたのにすげぇカットされてるってよく言うんだけど、「お前の発言が悪いんだよ!」って。
箕輪:そうそう。
明石:パンチラインがないといけない。で、韻を踏むこと。映像と動画って、戦争と平和からきてるからね。戦争と平和、映像と動画。
箕輪:知らなかった(笑)。
明石:入りやすいリズムがあるのよ。
箕輪:そうだね。見出しを常に想像することと似てる。
ヒップホップからプレゼンを学べ
質問者7:僕は今、月に行きたいと思ってて。
明石:前澤さんに連れて行ってもらいたい系?
質問者7:はい。日本人の方が「月に行く」って宣言して、実際行けることになったことってすごいチャンスだと思うんです。
僕は写真家なんですが、 元々レクサスのテストドライバーをやってました。ある時、賞をいただいたんですけど、 結局それって会社のためにしかならなくて、 僕自身のネームバリューには全く反映してこなかったんですね。
で、全然会社と関係ないんですが、僕の撮った写真がある企画で賞をいただけたんです。
箕輪:へぇ~。
質問者7:その同じタイミングで母親が倒れて、 その時に「写真は名前だ」と言われて、 「あ、そうか! 写真は僕が撮ることによって、一生残って行くものなんやな」と思って、写真家を志したんです。でも、 1年に1万円しか稼げなくて。
箕輪:1年に1万円!?
明石:ONE MEDIAも初年度の売り上げは5万円だから、その気持ちはすっげぇ分かる。
箕輪:どういうこと!? そんなの友達に頼めば10万円ぐらいくれそうじゃん。
明石:いや、だからさ…孤独だったんだよ。
箕輪:(笑)。
明石:2014年は孤独だった。
質問者7:僕も2014年がすごいターニングポイントでした。2014年にクレジットカードを案内して契約する仕事に変えたんです。そしたら、僕5日間で200件の契約を組ませることができて、日本一になりました。
アーティストってモノを売る仕事だから、「これ、絶対いけるな」と思ってすぐニューヨークに行ったんですね。会いたかったアーティストがその時いなかったんですけど、せっかく来たからテイラー・スイフトを撮って帰ろうと思ったんです。
実際、21時間粘ってテイラー・スイフトを撮ることができて、今レーベルでのお仕事をさせていただいたりとかしてて。
で、月に行く理由が、僕熊本出身なんですけど、同級生が3人しかいないような本当にちっちゃな村育ちなんです。いくらネットがあってもやっぱり感度が低かったりだとか、僕みたいなこうやって外に出てる人間ってごく一部。
その村をこれから僕がどうにかしたいと思った時に、一番手っ取り早い方法が月に行くことだと思ってて。
明石:う~ん。
箕輪:質問はなんだ!
質問者7:月に行きたいんですけど、その月に行くために、前澤さんはどういう人物を…。
箕輪:知らねぇよ! 前澤さんに聞けよ。
明石:ピカソっていう人がいるじゃないですか。ピカソってめちゃくちゃプレゼンがうまいんですよ。で、俺もめちゃくちゃプレゼンがうまい。箕輪さんもうまい。
で、君が話している月に行きたいっていう想いと最後に出たWHYの町おこしが全然リンクしてないんだよ。リンクしてないし、その話に至るまでのテイラー・スイフトや1万円の話とかいい話なんだけど、必要ないじゃん。全く編集されてないんだよ。
箕輪:そうそう。
明石:つまり、君はプレゼンが圧倒的に下手だから、ヒップホップ聴いて学んだ方がいい。
箕輪:ヒップホップで学べるんだ(笑)。
明石:学べるよ。ヒップホップはすげぇ短い中にメッセージ込めなきゃいけないから。
それに、町おこしは他でやれって前澤さん言うと思う。
箕輪:何百億もかけてやるにはね。
明石:そう、WHYが超弱い。なぜ弱いかって言ったら、すげぇ自分中心になってるから。人は、他人の話なんて全然興味ないから、ずっと自分中心で話してると退屈しちゃう。
だから、自分という人間に興味を持たせなきゃいけないんです。自分がなぜ月に行きたいのか、そこにどんなストーリーがあるのか、ワクワクさせなきゃいけない。それを1分で話さなきゃいけない。ていうわけで『1分で話せ』ってすげぇいい本があるから読んで。
箕輪:あれ、いい本なの?
明石:いい本だよ。自分が本当に月へ行きたいんだったら、それを読んで誰もが納得するストーリーを作ってください。
「今日来た人の顔は覚えておくといい。本気で何かを作ってるやつとは、惹かれ合って絶対またどこかで出会うから。」
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書き起こし:湯田美穂 林加代子 石川勝紘 Suzuki Kenta 新井大貴
編集:橘田佐樹
写真:ONE MEDIA提供 駒月麻顕
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