ポスト平成の生存戦略②-若者のための仕事論
福岡県で開催された『ポスト平成の生存戦略ー新たな時代をどう生きるー』。学生も多く来場した講演会では、仕事論について話題が及びました。
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箕輪的仕事の流儀
大学卒業後、双葉社に入社された箕輪さんですが、入社当初は編集部ではなく、広告部に配属されました。
自分の望んでいない広告部に配属された箕輪さんですが、仕事に対するスタンスについてこう語ります。
「広告、別にやりたくないよ。やりたくないけど別に配属がどうとか言ってんじゃねえよっていうのもあって。
『仕事論』で言うと、全部同じなんだよね。誰もできないことをやる、みたいな。難しいことをやるとか、困難なことを選ぶとかっていうのは変わらなくて。
俺は広告部っていうところで、誰よりも編集者らしかったし、『え、箕輪こんなことやるの?』みたいなこと色々やったよ。
『EDGE・STYLE』っていうギャル雑誌の担当で、まじ売れてなかった。売れてないから広告の反響がないわけよ。広告を取って来て、問い合わせが0件なんだよ。で、当たり前だけどリピートするわけないじゃん。
俺がそこで何を提案できるかって言ったら、俺は編集者じゃないから雑誌を売ることは出来ない。
でもタイアップ広告とかで、読モを呼んだりとかはできるわけよ。広告撮影後にクライアントと読モで飲みにいくみたいなことをやったら、価値じゃねえかなって思って。そしたらリピートするわけよ。『あ、ここだな。』って。『箕輪ってすげぇ』ってなるわけじゃん。そういうことの繰り返しなんだよね。
編集者も同じで、どう風穴開けるか、全員が無理だって思っているところを、ここワンチャンあるよねみたいな。
発想を切り替えたり、行動を切り替えたりしてやるかっていうのは、仕事論としては全部同じだから、一つの場所で出来ない奴はどこの場所でもできないと俺は思う。」
さらに重要なのは会社に自分の人生を委ねないことだと続けます。
「幻冬舎の編集者になりたいバイトがいて、『どう?』って聞くと、『編集者になりたいっす』とか言って。今やれよって。お前がやってるコピー取るとか、何だとかの先に編集はねえぞ、と。仕事論としてはあるよ、雑用を丁寧にするとか。
でも、編集者としては今やれよって。箕輪編集室に入ってやれよって。入んなくても究極、俺だったら何するかって言ったら、堀江さんにTwitterで絡んで、『堀江さんの稼働0で名言まとめて本作っていいですか、電子書籍で』って言ったら、堀江さんが『いいよ』って言うかもしれない。そしたらもう編集者じゃん。
会社にレールを作って欲しいって思ってる時点で、今の時代としてはアウトで、別になんでもできるわけじゃん。
仕事論としては1個の場所で突破できない奴は、どこの場所でも突破できないけど、時代的に生き方の話としては、会社の部署がどうだってうだうだ言ってるなら、その会社に所属しながらでもいいし、辞めてもいいけど、パソコン1台、スマホ1台あればどんな仕事だってできるから、今、この瞬間にやれよっていう感じ。
だってできないことなんてなにもなくない? 映画撮ろうと思ったら、撮れるしさ、youtube作ろうと思ったら、作れるし、本作ろうと思ってもできるしさ。もう全てが解放されてるのが今の時代だから、会社がって言ってる時点で終わってんなって俺は思うね。」
高すぎるハードルをあえて設ける
双葉社から転職し、幻冬舎に入社された箕輪さんですが、当時と今ではご自身幻冬舎に対する感覚は違うと言います。
「最初俺なんて幻冬舎入った時は、みんな周りが優秀に見えて、『やばいここ生き残れない』って思ったもん。今、何もそんなの思わないわけでさ。
瞬間瞬間必死に生きて、結果そうなってるだけだよ。だから、1年前生きて行くのも難しいと思っていた場所が、利用している場所になるわけで。
努力っていう意識ではないけども、常にハードル高すぎるよなっていうところにいて、気づいたら、そこがあまりにもゆるふわな場所に思えて、次の場所探すっていう。繰り返しでジャンプジャンプジャンプって感じですね。
つまり、背伸びし続けるってことだよね。ふくらはぎ痛いみたいな。ずーっと踵を上げ続ける。そうすると背伸びしてたつもりのことが気づいたら、俺ってこの人と会うだけで緊張してたのに、この人からお願いされてるっていう時期が絶対来るから。
エイベックスの松浦(勝人)さんが言ってて、俺は昔ピンと来なかったけど、今だったら言わんとしてることがわかる。『ヤドカリが大きくなって常に次の貝殻を探すみたいな人生で、俺は今ここにきた』みたいなことを言ってて。まさにその通りなんだよね。
大きめの貝殻っていうのは何かっていうと、レベルの高い人に会うとか、身分に合わないような仕事をするとか、ぶかぶかじゃんってその瞬間思うんだよ。恥ずかしいよ、みたいな。
周りからも『お前それ無理でしょ』って言われるし。でも気づいたらそんなの狭くなるんだよ、一瞬で。その繰り返しって感じ。
ただ、あくまでもレベルの高い人と仕事をしたいっていうことも、手段だと思うんだよね。俺はやっぱ面白い本を作りたいと思ったからホリエモンとか見城さんとか口説いた。
でも、それがレベルの高い人と仕事をしたいっていうのを目的にしてると、多分あっちもなんだこいつって思ったと思うんだよ。単なる名刺集めのうざい奴みたいになる。
俺は本を売るっていう目的の方を見てたの。見城さんに好かれたいとかではなく。見城さんに好かれたかったら、『これ書きたくない』て言われたら、『じゃあ書かないでください。』て言うじゃん。
俺は本を売るってことが目的だったから、『それ書かないと本にならないっすよ』って1年目だけど言ってて、見城さんはそういうのをわかってくれる人だから、『こいつ骨あるな』みたいな。
そこの目的を履き違えて人脈コレクターみたいになってもしょうがないんだよ。だから、レベルの高い人と仕事をするっていうよりも、レベルの高い仕事をするってことだよ。そうすると勝手に会う人のレベルも上がるし。
結局自分が何をやりたいかだよ。人脈をコレクトしたい訳じゃない。本当は面白い本を作りたいはずなのに、煌びやかな世界に惑わされて。編集者になって、女優とか、アイドルとか、作家さんと飲んで、わーって喋って何者かになった気持ちになって終わるわけよ。
でも、自分が本当に何になりたいかっていうのを忘れちゃいけないわけで。何がやりたいのか見極めをやるべきで、見極めをやる時期ってなかなかないから、本当に社会人になってひとり旅行くとかしかなくて、学生時代ってのが大事なのは、見極められる時間だから。」
多動力の本質はトップになること
多動力という言葉の本質について箕輪さんはこう語ります。
「多動力とかでいうと、やっぱみんな、よくあれもやってやるぜってそれもいいんだけど、それって単純に逃げてるだけなの。この仕事が辛いってなったら多動力だぜとか言って違うことやって、それも辛い。多動力だぜってて、ダダダーってやってるだけで、多分何者にもならない。ただ、あいつ逃げ続けてるなって。
やっぱホリエモンにしても落合陽一にしても僭越ながら、僕にしても、柱はあって、横展開してるんだよね。落合陽一ほど研究してる人間はいないし、ホリエモンほどインターネットをやり続けてた人はいなかったし、僕ほど本を作ってる人間は、単純に量としていない。そこにあって初めて、いろんなことをやるっていう。
誰も俺の文句言わないけど、言ってる編集者がいるとしたら、『お前じゃあ本何冊作ってんだよ』って思って。箕輪っていろんなことやりすぎって批判が出てもおかしくない、社内・社外から。
で、文句が出ないのは、幻冬舎の人の多分5倍くらい本作ってますからね。月1.5冊くらいは。小説とかも地味に作ってるし、Twitterで言ってない仕事もちゃんとやってるんで。
それがあっての初めての横転換なんだよね。要は、やっぱ何かのトップにならないと、トップと出会えないの。俺は編集者で、今本を作るとしたら箕輪くんに頼まないとダメだっていうのを起業家界隈では誰もが知ってくれてるから、もう全員俺に寄ってくるわけじゃん。
そうするといろんなことができるの。だってトップと出会えるから。落合陽一もそうだし。要は、あらゆる業界のトップの人と出会える。下の方で、くるくるくるくる回っててもしょうがない訳で。
1個どんなジャンルでもいいのよ、本当に。けん玉でもいいし、おしゃれな靴を集めるとか、なんでもいい。1個世界一になるべき、日本一でもいいけど。俺の友達ですげー頑張ってるやつとかも、堀江さんに紹介できねえな。なんでかっつうと日本一じゃないから。そいつが電通のすごいやつでも、『なんでこんなやつ連れてきたの』ってなっちゃうから。
でも、そいつが超マイナーなゲートボールでもいいけど世界一だったら、俺紹介できるんだよ。なんか繋がるかもしれないから。だからなんかすげえニッチな世界で、なんでもいいの。利きハイボール選手権日本一でも、なんでもいいんだけど、ネタになるし、じゃああれやろうよってなるの。トップってそういうことだから。
『え、それサンジャポ的に面白いと思うよ、プロデューサー紹介するよ』って。何でもいい。なんかのトップであれよ。それがどんなに狭い世界でも。でも、大企業だろうがなんだろうが、なんとなくすごい奴って、どうにもならないから。
多動力の本質は、なんかのトップになる。そうして興味を分散させると異常なまでにいろんな業界に分散できるよ、掛け算できるよって話じゃん。
トップになるというのは誰もができる話ではないから、その過程をも辛いと思わないことが大事なんじゃない? ただ楽しいと思ってやってることが日本一になるって。重要なのはそれを見つけるってことじゃないですかね。」
(次回に続きます)
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テキスト 及部真巳
編集 あきお
バナーデザイン 山口ともみ