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何をやりたいのか問い続けた先に、熱狂的現象が生まれる

5月18日大分県別府にて「時代の先見力2.0 箕輪厚介講演会」と題した講演会が開催されました。

*前回の記事はこちら

明確な意思をもって巻き込め

質問者:いろんな本を編集されてたくさんのアイデアに触れてると思うんですが、これから世の中はどのように変貌されると思いますか?

箕輪:どの文脈で言うかによって違いすぎるんだけど、一個言えるのはお金っていうものがすごい変わると思いますよ。お金がコモディティ化するというか。

この前キャッシュカード失くして再発行したから写真撮って、Twitterに「再発行した!振り込んでもいいよ!」ってつぶやいたの。で、口座見たら残高13万円ぐらい増えてた。誰かが振り込んでくれてるわけだよね。これってどんどん一般の人にもそのフェーズがおりてものすごいスピードでお金が回り始めると思う。

そうなるとぶっちゃけお金いらなくねってなる。いいこと思いついたら一瞬でお金集まるよ、それ面白いねって。トレーダーとか今まではお金儲けの上手い奴が豊かだとされてたけど、技術的なお金儲けの上手さっていうのは、今後5年ぐらいでまったく無意味になる。AIでいいからね、頭の良さとかデータ処理とかって。

技術的にお金を動かして増やすってこと自体がもう無意味になってて。一方で、お金儲けの技術はそんなになくても描いてるビジョンとか考え方とか人柄がいいなって思われれば、一瞬でお金なんて集まってやりたいことが実現できる。実際、俺とかそうだし。そうなってくると自分は何者か、これがやりたいからこうしてくれっていうのをはっきり言えて、周りを超巻き込める人が強い。

それは企業もそう。お金儲けが上手い企業でなくて、うちの会社はこういう会社でこういう世界を実現したいからみんなにはこういうふうにしてほしいって明確に言えて、それをいいなって思わせられる。その流れになっていくのは間違いないね。

質問者:巻き込み力ってSNSの活用とかセルフブランディングみたいなものが重要になっていくんでしょうか?

箕輪:いや、セルフブランディングって言うとすごい薄っぺらくなっちゃうんだけど。ありのままの嘘のない等身大の部分だよね。ブランディングみたいなものでなく、にじみ出る何か。

質問者:人間性みたいなことですか?

箕輪:ただ俺が財布を失くして、ただ酔っぱらっても誰も支持してくれないじゃん。やっぱり俺が出す本や考え方が好きってことがあるから。その活動によって喜ぶ人が何人いるかじゃない? 数だけじゃなくて深さ、どれだけエンゲージメントしているのかっていう要素もあるけど。

要は、インターネットって体温が伝わらないように見えるけどむしろ逆。そこに熱量があるとお金や人が集まる仕組みになっていくのがインターネット。今までだったら俺が出した10万部の本も、タイトルだけで中身ない10万部も売上は変わらなかった。でも、インターネットがあることによって常時いろんな人と繋がっているわけよ。

単純に売って儲かったじゃなくていろんな接触点を付けられるようになってきた。だから、本当に喜ぶ人がいればお金の稼ぎ方なんて下手でもなんか勝手に上手くいくようになる。

今までは喜ぶ人がいなくてもビジネスが上手くければ儲かったりしたけど、これからはそういうのがどんどん無くなって、喜ぶ人が多かったらビジネスができて普通に暮らしていける世の中に変わっていくと思う。

質問者:そういう美意識みたいなものが必要になるんですかね。

箕輪:そのフレーズで言うと違う。「奴隷の幸福」っていう言葉があるんだけど、勝手に助手席に乗ってすげぇ理不尽なことあっても任せてればいいやっていう。奴隷ってハンドルを持つことは自由で辛いんだよね。すべて自分の責任だから。これからは「奴隷の幸福」みたいなのが無くなっちゃう。常にお前は何をやりたいの? と問われ続けるの。

平安時代とかヨーロッパの貴族のいた時代とか豊かな時代って、芸術が発展したりスポーツが生まれたように文化が発達する。これからそうなっていって、皆が遊ぶようになるんだよ。今機械みたいに働く奴は本当に価値を生み出さないから、誰がそれ興味あるんだよみたいな。

消しゴムを集めるのが大好きな奴とかがむしろ凄い良い。昔って消しゴム好きなんて世界に300人しかいなくて一生のうちに一人会えるぐらい。でもインターネットでならその300人がコミュニティを作っていける。どんな偏愛でも偏屈でもいいから自分が好きなものがある人が強くなる。

質問者:これが好きだって自信を持って言える人少ないと思うんですが...

箕輪:人との比較じゃないよ。誰かに認められるものじゃなくて、やむにやまれずやってしまうことだよ。誰かに「僕これが好きです!日本で何番目に好きです!」って言うことじゃないよ。ただひたすらに気づいたらやってしまうことだと思うよ。

それが数字的に、例えばラーメン好きな奴がいて日本で1008番目ですって言われても関係ないじゃん。そいつがただラーメンのこういう味が好きでこういうところに行ってますって言ってたらこの人のラーメンの感想面白いなって思われるかもしれない。好き度は偏差値で計るもんじゃないから自信とか関係ないんじゃないかな。

オリジナルをぶつける

質問者:もし幻冬舎やエクソダスを辞めても編集者だけは辞めない場合、著者にこういう条件は求めたいとかありますか? こういう人の本は書きたいなっていうのもあれば。

箕輪:やっぱそれはオリジナルな原色の部分を持ってる人かな。世間とその個性が水と油にようにどんなにかき混ぜても絶対分離しちゃうところを持っている人。その分離の仕方が好みかどうか、このキチガイさ好きだなみたいな。

それこそ格闘家の青木真也は大学の頃からずっと好き。彼は格闘界からも世間からもけっこう嫌われてて。相手の骨を折ったり、中指立てたりして最低な人間だって言われてるんだけど。

仲良くなって一緒にサウナ行ってた時に「友達ってなんですか? 人とご飯行ったことないんですけど。小学校の時は壁に向かって一人で給食を食べさせられてました」って聞いてこいつ本当にやばい奴だなと思って。そういう世間との交わらなさが好き。

俺は世の中の空気を読む風潮が嫌いだから、その文脈で空気を読むくだらない予定調和を打破するためのキャラクターとして青木真也をプロデュースしたら売れるんじゃないかなと思って『空気を読んではいけない』っていうタイトルにした。表紙は青木真也を通勤する人たちのど真ん中に格闘パンツ1枚で孤高な感じで立たせた。

そうしたらこの一人の個性を表現できるんじゃないかと思って作ったんだよね。前田裕二も誰一人陰口言わないけど、キチガイな部分はあって。だから俺はそういう人が好きかな。

質問者:もしコンビニの店舗経営をするとしたらどんなことをしますか?

箕輪:すげぇ大赤字になって流行らないかもしれないけど、月額1000円で商品取り放題とかやってみたいね。バズるじゃん。みんな食べ放題とかでも最初死ぬほど取るんだけど、だいたい必要分量しか取らなくなってくる。そうなってくると意外と成り立つかもしれない。

上手くいかなかったら1か月で辞めちゃえばいいんだけど、バズるから広告費としては全然ペイしたよねってなると思う。月1000円で好きなものかごに入れ放題でレジなしみたいなのをやるかな。

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テキスト・編集 橘田佐樹

バナーデザイン 山口ともみ

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